○丹波市長等政治倫理条例

平成19年1月19日

条例第4号

(目的)

第1条 この条例は、市長、副市長及び教育長(以下「市長等」という。)が、市民全体の奉仕者であって、市政が市民の厳粛な信託に基づくものであることにかんがみ、その職務に係る倫理の確立と向上に資するため必要な事項を定め、自己の地位又は権限による影響力を行使して私的利益を図る行為又は市民の疑惑若しくは不信を招くような行為等を防止することにより、市政に対する市民の信頼に応えるとともに、市政に対する市民の正しい認識と自覚の向上に努め、もって民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(市長等の責務)

第2条 市長等は、市政に携わる権限と責務を深く自覚し、地方自治の本旨に従って、高い倫理性のもとにその使命の達成に努めなければならない。

2 市長等は、政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、自ら潔い態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにしなければならない。

(市民の責務)

第3条 市民は、主権者として自らも市政を担い、公共の利益を実現する責任を負うことの自覚を持ち、市長等に対して、その地位又は権限による影響力を不正に行使させるような働きかけを行ってはならない。

(政治倫理基準)

第4条 市長等は、公職にある者に対して適用される法令等のほか、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。

(1) 市民全体の代表者として品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。

(2) 市民全体の奉仕者として常に人格と倫理の向上に努め、その地位又は権限を利用して不当に金品を授受し、又はその要求若しくは約束をしないこと。

(3) 市又は市が資本金その他これらに準ずるものを出資している法人が行う許可、認可又は請負その他の契約に関し、特定の企業、団体等を推薦又は紹介する等その地位又は権限を利用して不正にその影響力を行使しないこと。

(4) その地位又は権限を利用して市職員の公正な職務執行を妨げ、又は不公平な取扱いをするよう働きかけないこと。

(5) その地位又は権限を利用して、市職員等の採用に関して特定の者を推薦し、若しくは紹介し、又は人事行政において不公正となるような任用若しくは関与をしないこと。

(6) 政治活動に関して企業、団体等から寄付等を受けないものとし、その後援団体についても政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄付等を受けないこと。

(市の工事等に関する遵守事項)

第5条 市長等の配偶者、血族2親等以内若しくは同居の親族又は市長等が役員をしている企業及び市長等が実質的に経営に携わる企業は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第142条、第166条及び第180条の5の規定の趣旨を尊重し、市が行う工事等の請負契約、下請工事、業務委託契約及び一般物品納入契約を辞退し、市民に疑惑の念を生じさせないよう努めなければならない。

2 前項に規定する「実質的に経営に携わる企業」とは、次に掲げるものをいう。

(1) 市長等が資本金その他これらに準ずるものの3分の1以上を出資している企業

(2) 市長等が年額120万円以上の報酬(顧問料等その名目を問わない。)を受領している企業

(3) 市長等がその経営方針に関与している企業

3 前2項の規定に該当することとなる場合において、市長等は、市民に疑惑の念を生じさせないため、責任をもって関係者又は関係企業から辞退届を提出させなければならない。

4 前項の辞退届は、市長等の任期開始の日から30日以内に市長に提出するものとする。

5 市長は、前2項の規定による辞退届の提出状況を速やかに公表するものとする。

(政治倫理審査会)

第6条 第8条に規定する請求に基づく調査その他の職務を行うため、地方自治法第138条の4第3項の規定に基づき、丹波市市長等政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。

2 審査会の委員は、5人以内とし、地方自治の本旨に理解があり、政治倫理に関し公正な判断力と識見を有する者のうちから、市長が委嘱する。

3 審査会の委員の任期は2年とし、再任は妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 審査会の会議は、公開とする。ただし、委員の3分の2以上の同意を得て非公開とすることができる。

5 審査会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

(審査会の職務)

第7条 審査会は、次に掲げる職務を行う。

(1) 次条の規定による調査請求に係る調査、審査及び回答をすること。

(2) 第10条から第12条までの規定による説明会に際し、市長の諮問を受けて意見書を提出すること。

(3) その他この条例による政治倫理の確立を図るため、市長の諮問を受けた事項につき調査、答申、勧告又は建議をすること。

2 審査会は、前項の職務を行うため、市長等及び関係人から事情聴取、資料提供その他必要な調査を行うことができる。

(市民の調査請求権)

第8条 市民は、次に掲げる事由があるときは、当該事由その他必要事項を記載した調査請求書に必要な資料を添え、地方自治法第18条に定める選挙権を有する者15人以上の連署をもって、市長に調査を請求することができる。

(2) 第4条に規定する政治倫理基準に反する疑いがあるとき。

(3) 第5条に規定する市の工事等に関する遵守事項に違背する疑いがあるとき。

2 市長は、前項の規定により調査の請求がなされたときは、書類審査の上、市長等に係る調査請求書及び添付資料の写しを審査会に送付し、調査及び審査(以下単に「審査」という。)を求めなければならない。

3 審査会は、前項の規定により審査を求められたときは、当該調査請求の適否及び当該事案の存否等の審査を行い、請求を受けた日から90日以内に、その審査結果を市長に文書で回答しなければならない。ただし、やむを得ない理由により期間内に回答できない場合にあっては、その期間を延長することができる。

4 市長は、審査結果の回答があった日から7日以内に、その写しを請求者に送付するとともに、当該審査結果を速やかに公表するものとする。

5 市民は、本条に規定する調査請求権の行使に当たっては、この条例の趣旨に則り、適切に行使しなければならない。

(市長等の協力義務)

第9条 市長等は、前条第1項に規定する調査の請求があったときその他審査会から要求があったときは、審査会に自ら出席し、審査に必要な資料の提供及び必要な説明を行うものとする。

(職務関連犯罪容疑による逮捕後の説明会)

第10条 市長等が、刑法(明治40年法律第45号)第197条から第197条の4までの各条及び第198条に定める贈収賄罪その他職務に関連する犯罪(以下「職務関連犯罪」という。)の容疑による逮捕後、引続きその職にとどまろうとするときは、市民に対する説明会の開催を市長に求めることができる。この場合において、当該市長等は、説明会に出席し、釈明するものとする。

(職務関連犯罪容疑による起訴後の説明会)

第11条 市長等が職務関連犯罪による起訴後、引続きその職にとどまろうとするときは、市民に対する説明会の開催を市長に求めなければならない。この場合において、当該市長等は、説明会に出席し、釈明しなければならない。

2 市民は、前条又は前項の規定による説明会が開催されないときは、地方自治法第18条に定める選挙権を有する者50人以上の連署をもって、説明会の開催を請求することができる。

3 前項の開催請求は、逮捕後の説明会にあっては起訴又は不起訴の処分がなされるまでの間に、起訴後の説明会にあっては起訴された日から50日以内に、市長に対して行うものとする。

4 市民は、説明会において当該市長等に質問することができる。

5 市長は、説明会の開催に関して審査会にあらかじめ諮問し、意見書の提出を求めなければならない。

(職務関連犯罪による第一審有罪判決後の説明会)

第12条 前条の規定は、市長等が同条の罪による第一審有罪判決の宣告を受け、なお引続きその職にとどまろうとする場合について準用する。この場合において、市民からの開催請求の期間は、判決の日から30日を経過した日以後20日以内とする。

(職務関連犯罪による有罪確定後の措置)

第13条 市長等は、前条の有罪判決の宣告を受け、その刑が確定したときは、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第11条第1項の規定により失職する場合を除き、市民全体の代表者としての品位と名誉を守り、市政に対する市民の信頼を回復するため、必要な措置を講じるものとする。

(庶務)

第14条 審査会の庶務は、総務部において処理する。

(その他)

第15条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成19年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現に市長等である者に対する第5条の規定の適用については、同条第4項中「市長等の任期開始の日」とあるのは「この条例の施行の日」とする。

3 第10条から第13条までの規定は、この条例の施行日以後に逮捕され、起訴され、又は有罪判決の宣告を受けた市長等について適用する。

(平成23年2月9日条例第6号抄)

(施行期日)

1 この条例は、平成23年4月1日から施行する。

(令和3年3月9日条例第19号)

(施行期日)

1 この条例は、令和3年4月1日から施行する。

丹波市長等政治倫理条例

平成19年1月19日 条例第4号

(令和3年4月1日施行)