○丹波市環境基本条例

平成16年11月1日

条例第141号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 環境の保全及び創造に関する基本方針等(第7条―第10条)

第3章 環境の保全及び創造に関する施策等(第11条―第23条)

第4章 環境審議会等(第24条・第25条)

第5章 地球環境の保全に関する施策(第26条・第27条)

附則

前文

人間は、人間をとりまく自然環境の中で、他の生物、無生物との相互依存関係のもとに生活し、自然の資源を利用し、自然の法則に従った努力のもとに、今日の文明社会をきずいてきた。

しかし、今日の文明、ことに技術文明の進歩は、人間生活の便宜を増進し、生活と文化の向上をもたらしたが、反面において、我々の大量生産、大量消費及び大量廃棄の社会経済活動により、自然環境を汚損し、生活環境の悪化をみちびき、地球温暖化等の深刻な地球環境問題を顕在化させ、人類の生存基盤そのものを脅かすまでに至っている。

よって、我々は、環境の恵みとその有限性を深く認識し、地域の環境を大切にすることが地球環境を守っていくことにつながることを理解し、身近なところから環境への負荷の少ない自立・循環型のまちづくりを進めるとともに、自然と共生できるゆとりと潤いのある環境の形成を図る必要がある。

いまこそ、我々は、安全で健全かつ快適・文化的な生活を営むことができる良好な環境を享受する権利を有するとともに、この良好な環境を将来の市民に引き継いでいく責務を有することを認識し、市、事業者及び市民それぞれの公平な役割分担の下、その責務を果たし、協働して、環境を守り育てていかなければならない。

このような認識の下に、現世代のみならず思いを子孫にいたし健康で安全かつ快適な生活を妨げるすべてのものを排除する決意のもとに、その防除に適切な対策を施すとともに、澄みきった空気、緑にはえる山々と、ゆたかなよく野に恵まれた固有の風土と、歴史的遺産並びに善良な風俗を守り、環境の保全と美化に一層の努力を払うことを誓い、その実現のためにこの条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、市、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本的な事項を定めることにより、これらの施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の世代の安全で健全かつ快適・文化的な生活の確保に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境の保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の安全で健全かつ快適・文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生じる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の低質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生じることをいう。

(4) 環境の保全及び創造 健全で恵み豊かな環境の保全及びゆとりと潤いのある環境の創造をいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は、市民が健全で恵み豊かな環境を享受し、良好な環境を維持して、これを将来の世代へ継承していくことを目的として適切に行われなければならない。

2 環境の保全及び創造は、環境への負荷の少ない健全な社会経済活動が行われることによって、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷が少ない健全な経済の発展を図りながら、持続的発展が可能な社会が構築され、科学的知見の充実の下に環境の保全上の支障が未然に防がれることを旨として行われなければならない。

3 環境の保全及び創造は、生態系に配慮しつつ、市域の自然的、歴史的、文化的な条件に応じ環境に影響を及ぼすと認められる施策、事業活動等を計画の段階から総合的に配慮することにより、豊かな自然環境を保全するとともに住みよい都市を創造し、及び安全で健全かつ快適・文化的な生活を実現することを旨として行われなければならない。

4 地球環境の保全は、市民の安全で健全かつ快適・文化的な生活を将来にわたって確保する上でも重要な事柄であることから、市、事業者及び市民のすべての事業活動及び日常生活において、公平な役割分担の下、積極的に推進されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施するものとする。

2 市は、環境への影響に係る施策の策定及び実施に当たっては、環境の保全及び創造に配慮し、環境への負荷を低減するため、必要な措置を講じるよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、自らの負担において、自らの事業活動に伴って生じる環境の保全上の支障を防止し、環境の資源の活用その他の事業活動が環境に配慮されたものとなるよう必要な措置を講じるものとする。

2 事業者は、その事業活動において、廃棄物の発生抑制、再生利用の促進等を図り、及び製品その他の物が使用され、又は廃棄されることその他の事業活動による環境への負荷の低減に資するよう努め、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合に適正な処理が図られるよう必要な措置を講じるものとする。

3 事業者は、前2項に定めるもののほか、自ら環境の保全及び創造に資するよう努めるとともに、市が行う環境の保全及び創造に関する施策に積極的に参画し、及び協力するものとする。

(市民の責務)

第6条 市民は、基本理念にのっとり、その日常生活において、環境への負荷の低減に努めるものとする。

2 市民は、その日常生活において、廃棄物の発生抑制、再生利用等に資するよう努めるものとする。

3 市民は、前2項に定めるもののほか、自ら環境の保全及び創造に資するよう努めるとともに、市が行う環境の保全及び創造に関する施策に積極的に参画し、及び協力するものとする。

第2章 環境の保全及び創造に関する基本方針等

(基本方針)

第7条 市は、基本理念の実現を図るため、次に掲げる基本方針に基づき、環境の保全及び創造に関する施策を講じるものとする。

(1) 環境への負荷が少ない自立・循環型のまちづくり

(2) 生態系を育くむまちづくり

(3) 安全で健全かつ快適・文化的な環境のまちづくり

(4) 地球環境の保全に貢献するまちづくり

(5) よりよい環境へ市民皆で取り組むまちづくり

(6) 環境を守り育てる仕組みを確立したまちづくり

(7) 前各号に掲げるもののほか、その他良好な環境の保全及び創造に資するまちづくり

(環境基本計画)

第8条 市長は、前条の基本方針を総合的かつ計画的に進めるため、環境基本計画を定めるものとする。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する目標、基本方向及び基本方向に基づいた施策

(2) 環境の保全及び創造のために、市、事業者及び市民がそれぞれ配慮すべき内容(以下「環境配慮指針」という。)

(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を定め、又は変更するに当たっては、あらかじめ第24条に規定する丹波市環境審議会の意見を聴くとともに、市民の意見を反映するよう努めるものとする。

4 市長は、環境基本計画を定め、又は変更したときは、速やかにその概要を公表するものとする。

(環境基本計画と他の計画との整合性等)

第9条 市長は、環境に影響を及ぼすと認められる施策に係る計画を策定し、及び実施するに当たっては環境基本計画との整合を図るものとする。

2 市長は、環境の保全及び創造に関する施策について、総合的に調整するため、必要な措置を講じるものとする。

(環境配慮指針への適合)

第10条 市は、自らその行政活動を環境配慮指針に適合させるものとする。

2 市民及び事業者は、その社会経済活動のあり方、生活様式のあり方等を環境配慮指針に適合させるよう努めるものとする。

第3章 環境の保全及び創造に関する施策等

(年次報告)

第11条 市長は、市域における環境の現状並びに環境の保全及び創造に関する施策及びその実施の状況について、年次報告書を作成し、これを公表するものとする。

2 市長は、前項の年次報告に対する市民の意見を聴くため、必要な措置を講じるものとする。

(環境情報の提供)

第12条 市は、環境の保全及び創造に資するため、環境の状況、その他の環境の保全及び創造に関する情報の提供に努めるものとする。

2 事業者は、環境の保全及び創造に資するため、製品の環境への負荷に係る情報及びその他の事業活動に伴う環境への負荷に係る情報を公開するよう努めるものとする。

(規制的措置等)

第13条 市は、環境の保全及び創造を図るため必要があると認めるときは、関係行政機関と協議して必要な規制の措置を講じるものとする。

2 市長は、環境の保全及び創造の確保について、必要に応じて、利害関係者と協議し、及び指導又は助言をすることができる。

(経済的措置等)

第14条 市は、環境への負荷の低減を図るため、事業者及び市民に係る適正な経済的負担を課する措置について、調査及び研究を行うものとする。

2 市は、市民、事業者及びこれらの者で組織する民間の団体(以下「市民等」という。)が行う環境への負荷の低減を図るための設備又は施設の整備その他環境の保全及び創造に資する自発的な活動が促進されるよう、助成、顕彰、その他の必要な措置を講じるものとする。

3 市は、環境への負荷の低減を図るため、市民等を支援し、又は誘導するための必要な措置を講じるものとする。

(財政上の措置)

第15条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を効果的、継続的かつ着実に推進していくため必要な財政上の措置を講じるものとする。

(環境の保全及び創造に配慮した公共施設の建設等)

第16条 市は、公共施設の建設に当たっては、環境の保全及び創造に配慮するものとする。

2 市は、公共施設の維持管理に当たっては、資源及びエネルギーの有効利用並びに廃棄物の減量が促進されるよう必要な措置を講じるものとする。

(環境への負荷の低減に資する製品等の利用促進)

第17条 市は、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、廃棄物の減量の促進及び再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、製品、役務等の利用が促進されるよう、自ら行動するとともにそのための必要な措置に講じるものとする。

2 市民等は、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、廃棄物の減量の促進及び再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、製品、役務等の利用が促進されるよう行動するとともに、市が行う必要な措置に協力するものとする。

(環境調査)

第18条 市は、環境に大きな影響を及ぼすおそれのある主要な施策又は方針の立案に際し、環境に係る配慮が十分になされているのか、環境の観点から望ましい選択であるか等についての調査(以下「環境調査」という。)を別に市長が定める手続により行うものとする。

(環境監査等の普及)

第19条 市は、環境への負荷の低減に資するため、速やかに自らその行政活動について、環境に与える影響の評価及び監査(以下「環境監査等」という。)を行えるよう必要な措置を講じるものとする。

2 市は、環境への負荷の低減に資するため、事業者及び市民が自らその活動に係る環境監査等を行えるよう必要な措置を講じるよう努めるものとする。

3 事業者は、環境への負荷の低減に資するため、自らその事業活動について、環境監査等を行えるよう必要な措置を講じるよう努めるものとする。

(環境学習及び環境教育)

第20条 市は、市民等の環境の保全及び創造に関する活動が増進され、及び促進されるよう、人材の育成、機会の提供、環境に関する学習及び教育の体系的な推進並びに情報の整備及び情報の提供に関し必要な措置を講じるものとする。

(市民参加)

第21条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を効果的に推進するため、市民等の参画その他必要な措置を講じるよう努めるものとする。

2 市は、環境の保全及び創造に係る活動を市民等とともに推進するための体制の整備及び組織作りに努めるものとする。

(監視体制の整備等)

第22条 市は、環境の状況を把握し、環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するため施設その他必要な監視体制の整備を行うものとする。

2 市は、環境の状況の把握又は環境の変化の予測に関する調査、その他の環境の保全及び創造に関する施策に必要な調査を実施するものとする。

3 市は、前項の規定による調査により明らかとなった環境の状況について、必要に応じて公表するものとする。

4 市は、環境の保全及び創造に関する施策を適正に推進するため、必要な科学技術情報の収集及び調査研究を行うとともに、これらの成果の普及に努めるものとする。

(苦情及び公害紛争の処理)

第23条 市は、公害その他環境の保全上の支障を及ぼす行為に係る苦情について、適切に処理するよう努めるものとする。

2 市は、公害その他環境の保全上での支障を及ぼす行為に係る紛争の処理について、適正かつ円滑な処理を図るために必要な措置を講じるものとする。

第4章 環境審議会等

(環境審議会)

第24条 市は、環境基本法(平成5年法律第91号)第44条に基づき、丹波市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査、審議し、答申する。

(1) 環境の保全及び創造に関する基本的事項又は重要事項

(2) 環境基本計画に関すること。

(3) 法令の規定により市長の権限に属された事項

(4) 前3号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関し必要な事項

3 審議会は、委員18人以内をもって組織する。

4 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 市内の公共的団体の代表者

(2) 識見を有する者

(3) 公募による市民

5 審議会の委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

6 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に市長が定める。

(推進及び調整体制の整備)

第25条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的に推進し、及び調整するため、必要な体制を整備するものとする。

第5章 地球環境の保全に関する施策

(地球環境の保全)

第26条 市は、地球温暖化の防止、オゾン層の保護等の地球環境の保全に資する施策を推進するため必要な措置を講じるよう努めるものとする。

2 市は、市民等が地球環境の保全に関して、相互に連携を深め、協働した行動を推進するため必要な措置を講じるよう努めるものとする。

(広域的連携)

第27条 市は、地球環境の保全その他広域的な取組を必要とする施策の実施に当たって、国際機関、国、他の地方公共団体等と協力して、その推進に努めるものとする。

(施行期日)

1 この条例は、平成16年11月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日の前日までに、合併前の柏原町環境保全条例(昭和53年柏原町条例第14号)、氷上町環境保全条例(昭和47年氷上町条例第17号)又は山南町環境保全条例(昭和49年山南町条例第1号)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、それぞれこの条例の相当規定によりなされたものとみなす。

(平成24年3月8日条例第10号)

この条例は、平成24年4月1日から施行する。

(平成26年6月18日条例第28号)

この条例は、平成26年7月1日から施行する。

丹波市環境基本条例

平成16年11月1日 条例第141号

(平成26年7月1日施行)

体系情報
第10編 境/第2章 環境保全
沿革情報
平成16年11月1日 条例第141号
平成24年3月8日 条例第10号
平成26年6月18日 条例第28号