○丹波市消防本部火災調査規程
平成27年11月12日
消防本部訓令第9号
丹波市消防本部火災調査規程(平成21年丹波市消防本部訓令第3号)の全部を改正する。
目次
第1章 総則(第1条―第10条)
第2章 原因調査(第11条―第36条)
第3章 損害調査(第37条―第39条)
第4章 調査書類の作成及び報告(第40条―第43条)
第5章 り災の証明(第44条)
第6章 雑則(第45条―第47条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この規程は、市内で発生したすべての火災の原因及び損害を明らかにし、火災予防施策及び警防対策に必要な基礎資料を得るため、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章に規定する火災の調査(以下「調査」という。)に関し必要な事項を定めるものとする。
(調査の区分)
第2条 調査は、火災原因調査(以下「原因調査」という。)及び火災損害調査(以下「損害調査」という。)に区分する。
2 原因調査は、次に掲げる事項を明らかにするために行うものとする。
(1) 出火原因 発火原、経過、着火物及び出火箇所
(2) 延焼経過 火災の延焼経過及び延焼拡大した要因
(3) 避難状況 火災現場における避難者及び要救助者の行動、救出救助状況等
(4) 消防用設備等の使用状況 消火設備、警報設備、避難設備等の作動状況及び使用状況
(5) その他消防行政上必要な事項
3 損害調査は、次に掲げる事項を明らかにするために行うものとする。
(1) 焼き損害 火災によって焼けた物及び熱によって破損した物の損害
(2) 消火損害 消火活動によって受けた水損、破損、汚損等の損害
(3) 爆発損害 爆発現象の破壊作用により受けた損害(前2号に掲げる損害を除く。)
(4) その他損害 煙害又は物品の搬出によって受けた損害及び避難行動によって受けた損害
(5) 人的損害 火災に起因して生じた死者及び負傷者の数並びに負傷程度及び発生状況
(調査の責任)
第3条 調査の責任は、消防署長(以下「署長」という。)が有するものとする。
2 消防長は、署長に対し調査遂行上必要な指示を与えるものとする。
3 消防長は、消防行政上必要があると認める火災については調査本部を設置し、署長に必要な指示を与えるものとする。
4 調査本部を設置した場合の調査の責任は、署長にあるものとする。
(調査体制の確立)
第4条 署長は、前条に規定する調査の責任を果たすため、調査に従事する職員(以下「調査員」という。)を指示し、消防司令補を中心として組織的に調査を行わせるものとする。
(調査員の心得)
第5条 調査員は、常に火災の現象、関係法令、社会の動向その他調査に必要な知識を修得し、調査技術を研究し、及び調査能力の向上に努めなければならない。
(法令の遵守)
第6条 調査員は、法その他関係法令を遵守し、個人の自由及び権利を不当に侵害してはならない。
2 調査員は、調査上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(民事不介入)
第7条 調査員は、その職務権限を利用して関係者の民事的紛争に関与してはならない。
(関係機関との協力)
第8条 調査員は、警察職員その他関係機関の職員と緊密な連携を保ち、相互に協力して調査に当たらなければならない。
(調査班の編成)
第9条 署長は、火災規模に応じて調査員及び調査を補助する職員で構成する調査班を編成し、調査指揮者を指名するものとする。
2 調査指揮者は、消防司令又は消防司令補の階級にある調査員とする。
(調査指揮者の任務)
第10条 調査指揮者は、具体的な調査計画を立て、任務分担を明確に指示し、現場調査、質問、書類作成等が速やかに行われるよう努めなければならない。
第2章 原因調査
(原因調査の原則)
第11条 原因調査は、常に事実の確認を主眼として、先入観にとらわれることなく、科学的な方法及び合理的な判断により事実の究明に努めなければならない。
(原因調査の時期)
第12条 原因調査は、火災の覚知と同時に着手し、火災時及び鎮火後にわたって行わなければならない。
(火災状況の見分)
第13条 消防活動に従事する職員(以下「消防隊員」という。)は、火災現場に出動したときは、直ちに火災状況を見分しなければならない。
(火災状況見分書)
第14条 前条の火災状況の見分を行ったときは、必要に応じ、その状況を火災状況見分書に記載するものとする。
2 前項の火災状況見分書には、必要に応じ図面、写真等を添付するものとする。
(聞き込み調査)
第15条 消防隊員は、火災の早期発見者その他火災の関係者に聞き込み調査を行い、原因調査に必要な情報の収集に努めなければならない。
(聞き込み書)
第16条 消防隊員又は調査員は、聞き込み調査により知り得た事項については、必要に応じ聞き込み書を作成するものとする。
(防ぎょ中の現場保存)
第17条 消防隊員は、出火場所付近の迅速な消火を心がけ、出火前の状態が推測できるよう原状の保存に努めなければならない。
2 防ぎょ活動のため、やむを得ず出火場所付近の物件を移動し、又は破壊しようとするときは、事後の原因調査の支障とならないよう配慮するとともに、原状がわかるよう必要な処置を講じなければならない。
(鎮火後の現場保存)
第18条 署長は、現場保存区域に関する次の事項について、警察機関その他の関係機関(以下「警察機関等」という。)と協力し、鎮火後の現場を保存しなければならない。ただし、警察官等によって現場保存が行われている場合は、この限りでない。
(1) 警察機関等と協議して決定すること。
(2) 必要最小限度の範囲にとどめること。
(3) 縄張り又は張礼等で表示すること。
2 署長は、現場保存区域には、関係者であってもみだりに出入りさせてはならない。
3 現場保存区域は、調査の進行に伴い順次縮小し、原因調査が終了したときは直ちに解除するものとする。
(原状の変更)
第19条 調査員は、現場見分を行う前にやむを得ず現場の原状を変更しようするときは、写真、見取図、記録その他の方法により原状を明らかにするよう処置しなければならない。
(死者の取扱い)
第20条 消防隊員は、現場において死者を発見したときは、速やかに現場における最高階級にある者(以下「現場最高指揮者」という。)に報告しなければならない。
2 前項の報告を受けた現場最高指揮者は、警察機関に通報するとともに、必要な措置を講じなければならない。
(現場見分の原則)
第21条 調査員は、火災現場その他関係のある場所に立ち入り、詳細に見分し証拠資料の発見収集に努めなければならない。
(立会人)
第22条 現場見分は、原則として関係者の立会いのもとに行うものとする。
(現場発掘)
第23条 現場発掘は、現場見分状況及び火災出動時の見分状況並びに関係者の供述を総合的に判断して出火範囲を限定し、実施するものとする。
2 現場発掘は、出火範囲として限定した区域を周囲から出火箇所付近と推定される核心部に向かって順次実施するものとする。
3 現場発掘は、立会人の供述に基づく物品配置等に留意し、物件等の原状確保に配慮しなければならない。
4 現場発掘は、原状を復元する観点に立って行うものとする。
(実況見分書)
第24条 調査員は、現場見分を行い、実況見分書を作成しなければならない。
(図面及び写真)
第25条 調査員は、現場見分、物品の状況、実験結果等の内容を明確にするため、図面及び写真により記録しなければならない。
(質問)
第26条 調査員は、火災の原因究明及び被害状況の把握のため火元責任者、火気取扱者その他関係のある者に対し質問を行い、事実の確認に努めなければならない。
(任意供述の確保)
第27条 調査員は、質問を行うときは、強制的手段を避け、場所、時間等を考慮し被質問者の任意の供述を得るよう努め、みだりにその供述を誘導してはならない。
(伝聞の排除)
第28条 調査員は、伝聞による供述を排除し、事実の供述を得るよう努めなければならない。
(質問調書)
第29条 調査員は、質問調書に被質問者の供述を正確に録取しなければならない。この場合において、火災早期発見者、消火協力者等出火に直接関係のない者については、聞き込み書でこれに代えることができる。
(製造者等に対する資料提出命令)
第30条 署長は調査のため特に必要があるときは、法第32条第1項の規定に基づき火災の原因である疑いがある製品の製造者又は輸入した者に対して資料提出命令書により必要な資料の提出を命じることができる。
(官公署への照会)
第31条 署長は、法第32条第2項の規定に基づき、官公署に対し原因調査に関する事項の通報を求める場合は、火災調査事項照会書によるものとする。
(資料提出)
第32条 署長は、原因調査のため必要と認める場合は、関係者に物件等の任意提出を求めるものとする。
2 署長は、前項の場合において、物件等の確保が困難であると認める場合は、法第34条第1項に基づき、関係者に対し資料提出命令書による物件等の提出を命ずることができる。
(所有権の確認)
第33条 署長は、前条により資料の提出を求め、又は命じた場合は、関係者に対し物件等の提出にあわせて原因調査資料提出書の提出を求め、所有権放棄の有無を確認しておかなければならない。ただし、署長は、特に提出を求める必要がないと認めるときは、この限りでない。
(資料の保全)
第34条 署長は、資料の保管に当たっては、資料の証拠価値を損傷しないよう細心の注意を払い、慎重に保全しなければならない。
(保管品の管理)
第35条 署長は、資料を保管する場合は、資料保管台帳に記載し、原因調査が終了するまで保存しなければならない。
(火災原因の認定)
第36条 火災原因は、火災状況見分、実況見分、関係者等の供述、実験等その他関係資料を総合的に検討し、科学的に考察して認定し、その立証に当たっては物的証拠による資料を基礎として、人的調査による資料によりこれを補足するものとする。
第3章 損害調査
(り災物件の損害調査)
第37条 署長は、調査員に現場その他関係のある場所に立ち入って関係者に質問させ、り災物件に係る損害調査をさせて正確な損害の把握に努めなければならない。
(火災損害届)
第38条 署長は、損害調査上必要があると認めるときは、り災者その他関係者に火災損害届の提出を求めるものとする。
(死傷者の調査)
第39条 署長は、火災に起因して死傷者が発生したときは、その状況を調査し、死傷者調査表を作成しなければならない。
第4章 調査書類の作成及び報告
(書類作成上の原則)
第40条 調査書類(以下「書類」という。)の作成に当たっては、わかりやすい文章で事実をありのままに表現するよう努めなければならない。
(火災原因及び損害調査書)
第41条 署長は、調査を完了したときは、火災原因及び損害調査書(以下「調査書」という。)を作成し、消防長に報告するものとする。
2 調査書には、次の書類を添付するものとする。
(1) 書類目録
(2) 火災原因調査表
(3) 火災原因認定書
(4) 火災状況見分書
(5) 実況見分書
(6) 現場図面
(7) 現場写真
(8) 質問調書(現場聞き込み書を含む。)
(9) その他原因調査上必要な書類(回答文書等)
(10) 死傷者調査書
(11) 損害調査表
(12) 損害査定書
(13) 火災損害届
(14) その他損害調査上の参考資料
(書類の省略)
第42条 署長は、前条の書類のうち、火災の種別、規模等によりその一部を省略することができる。
(火災報告)
第43条 署長は、火災報告取扱要領(平成6年消防災第100号)に基づき火災報告等オンライン処理システムによって、兵庫県が指定する期日までに兵庫県へ報告しなければならない。
第5章 り災の証明
(り災の証明)
第44条 署長は、火災のり災者からり災証明等交付申請書により申請があったときは、り災の証明を行うことができる。
2 前項の証明は、り災証明及びり災届証明とする。
3 り災証明は、事実の確認に基づきり災証明書を用いて行うものとする。
4 り災届証明は、り災者が第38条の規定に基づく火災損害届を届け出ている場合に、り災届証明書により行うものとする。
第6章 雑則
(火災の原因に関する回答)
第45条 署長は、火災原因その他調査事項について、捜査機関その他関係機関及び関係者から照会があったときは、その内容、目的その他必要な理由について審査し、必要事項について回答することができる。この場合において、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)その他関係法令によるほか、別に定めるところにより対応するものとする。
2 署長は、前項の規定により回答するときは、照会書等の写しを添えて、あらかじめ消防長に報告しなければならない。
(火災原簿)
第46条 署長は、調査結果に基づき、火災原簿を作成しなければならない。
(その他)
第47条 この規程に定めるもののほか必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
この規程は、公布の日から施行する。
附則(令和5年2月16日消本訓令第1号)
この規程は、令和5年4月1日から施行する。