○丹波市中小企業・小規模企業振興基本条例

平成28年9月29日

条例第36号

丹波市内に立地する企業の大多数を占める中小企業・小規模企業は、地域経済を根底から支え、その発展に寄与するとともに、雇用創出により安定した市民生活を実現し、まちづくり、災害時の支援等においても地域社会の担い手として重要な役割を果たしてきた。また、大企業の企業活動にとっても重要な存在といえる。

人口の減少、超高齢社会の到来、経済活動のグローバル化の進展等、経済・社会構造が大きく変化している中で、持続可能なまちづくりを進めていくためには、中小企業・小規模企業の役割とあり方について、市、議会、事業者、地域経済団体等及び市民が共通認識を持ち、協働により中小企業・小規模企業の振興に向けた取組みを実施していくことが重要である。

ここに、市は、事業者、地域経済団体等及び市民と連携を図りつつ、中小企業・小規模企業の振興を市政の重点課題と位置付け、振興に向けて基本理念を明らかにし、地域全体で共有しつつ、地域社会の発展と市民生活を豊かにする施策として総合的に実施するため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、中小企業・小規模企業の振興について、市及び議会の責務、事業者及び地域経済団体等の役割並びに市民の理解及び協力を明らかにするとともに、市の中小企業・小規模企業施策の基本となる事項等を定めることにより、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を総合的に推進し、もって地域産業及び地域経済の発展を促し、市民生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 事業者 市内で営利を目的とする事業を営む法人及び個人をいう。

(2) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号。以下「法」という。)第2条第1項各号のいずれかに該当する事業者で、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(3) 小規模企業者 法第2条第5項に該当する事業者で、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(4) 大企業者 中小企業者・小規模企業者以外の事業者で、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(5) 地域経済団体等 市内に事務所又は事業所を有する次に掲げるものをいう。

 商工会法(昭和35年法律第89号)に基づく商工会

 銀行、信用金庫その他金融機関

 農業協同組合法(昭和22年法律第132号)に基づく農業協同組合

 その他経済活動の発展に寄与する団体及びこれらに準ずる団体

(6) 市民 市内に在住、在勤又は在学する者をいう。

(基本方針)

第3条 中小企業・小規模企業の振興は、「丹波力を活かした創意ある元気なまち」の実現を目標とし、中小企業者・小規模企業者自らの創意工夫及び自主的な努力を尊重しつつ、その特性に応じた総合的な施策を市、事業者、地域経済団体等及び市民の連携と協働の下に一体となって推進することを基本とする。

2 中小企業・小規模企業の振興は、グローバル化の進展も視野に入れ、国、県その他公共団体と連携を図りながら推進するものとする。

(基本的施策)

第4条 市は、第1条の目的を達成するため、前条の基本方針に基づき、次に掲げる施策を行うものとする。

(1) 経営安定の促進及び経営革新並びに事業承継のための施策

(2) 創業又は新事業の創出のための施策

(3) 各産業の技術向上及び伝統工芸等の技術伝承のものづくりのための施策

(4) 各産業の交流、連携及び協働による支え合いづくりのための施策

(5) 市内経済の循環を促進するための施策

(6) 市内商工業の活性化の推進及び農林業の産業化のための施策

(7) 観光との連携によるにぎわいづくりのための施策

(8) 雇用の促進、人材の確保及び育成並びに職場環境の改善のための施策

(9) 学校教育における勤労観及び職業観の醸成のための施策

(10) すべての市民が参加できる産業振興のための施策

(11) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める施策

(市の責務)

第5条 市は、事業者、地域経済団体等及び市民と連携を図りながら、経済・社会情勢の変化に対応した中小企業・小規模企業の振興のための適切な施策を推進し、財政上の措置並びに国、県等との連携及び協力に努めるものとし、必要に応じて国、県等に対し施策の充実及び改善の要請を行うものとする。

2 市は、小規模企業の振興に関する施策については、資金、人材等の確保が特に必要であると思われる小規模企業者の事情に配慮するものとする。

3 市は、工事の発注、物品及び役務の調達等に当たっては、予算の適正な執行に留意しつつ、中小企業者・小規模企業者の受注機会の拡大に努めるものとする。

(議会の責務)

第6条 議会は、中小企業・小規模企業の振興に関し、市の事務執行の監視及び評価並びに政策提言に努めなければならない。

(中小企業者・小規模企業者の役割)

第7条 中小企業者・小規模企業者は、経済・社会情勢の変化に対応して自主的に事業活動の向上及び改善に努めるものとする。

2 中小企業者・小規模企業者は、事業活動を行うに当たっては、経営基盤の強化、人材の育成及び雇用環境の充実を図り、従業員が生きがい及び働きがいを得ることができる職場づくりに自主的な努力をするものとする。

3 中小企業者・小規模企業者は、市が実施する中小企業・小規模企業振興策に協力するよう努めるものとする。

4 中小企業者・小規模企業者は、市内の他の事業者及び地域経済団体等との連携に努めるとともに、市内で生産、製造及び加工される製品並びに市内で提供される役務の利用に努めるものとする。

5 中小企業者・小規模企業者は、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚し、暮らしやすい地域社会の実現に貢献するよう努めるものとする。

(大企業者の役割)

第8条 大企業者は、中小企業・小規模企業の振興が市の経済活動の発展に重要な役割を果たすことを理解し、中小企業者・小規模企業者との連携を図るとともに、市が実施する中小企業・小規模企業振興策に協力するよう努めるものとする。

2 大企業者は、市内における中小企業者、小規模企業者及び地域経済団体等との連携に努めるとともに、市内で生産、製造及び加工される製品並びに市内で提供される役務の利用に努めるものとする。

3 大企業者は、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚し、暮らしやすい地域社会の実現に貢献するよう努めるものとする。

(地域経済団体等の役割)

第9条 地域経済団体等は、中小企業者・小規模企業者の経営の安定及び向上の支援に積極的に取り組むとともに、市が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(市民の理解及び協力)

第10条 市民は、中小企業・小規模企業の振興が市民生活の向上において果たす役割の重要性を理解し、中小企業・小規模企業の健全な発展に協力するよう努めるものとする。

2 市民は、消費者として市内で生産、製造及び加工される製品の購買又は消費並びに市内で提供される役務の利用に努めるものとする。

(協議の場の設置)

第11条 この条例の目的の達成及び第4条に規定する基本的施策の実施等について協議するため、中小企業・小規模企業の振興のための協議の場(以下「協議の場」という。)を設置する。

2 協議の場の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(その他)

第12条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、平成29年4月1日から施行する。

丹波市中小企業・小規模企業振興基本条例

平成28年9月29日 条例第36号

(平成29年4月1日施行)