○丹波市が発注する契約に係る適正な労働条件の確保に関する要綱
平成31年1月21日
告示第34号
(趣旨)
第1条 この要綱は、丹波市(以下「市」という。)が締結する契約において、当該業務に関わる労働者の適正な労働条件を確保し、もって労働者の生活の安定を図るとともに、地域経済の持続的な発展及び公共工事並びに公共サービスの質の向上に資することを目的に必要な事項を定めるものとする。
(1) 市契約 市が締結する工事若しくは製造その他についての請負契約又は物件の買入れの契約その他の契約(労働者を使用しない業務の契約を除く。)をいう。
(2) 契約担当者 丹波市財務規則(平成16年丹波市規則第41号)第2条第6号に規定する契約担当者をいう。
(3) 市内事業者 市内に事務所又は事業所を有する者をいう。
(4) 受注者 市契約の相手方
(5) 下請負者 下請、再委託その他いかなる名義によるかを問わず、受注者その他の市以外の者との間で、市契約に基づく業務に関わるために契約を締結した者
(6) 受注関係者 次のいずれかに掲げる者をいう。
ア 受注者
イ 下請負者
ウ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)の規定により、自己の雇用する労働者を受注関係のために市契約に基づく業務に関わらせる者
(7) 労働者等 次のいずれかに掲げる者をいう。
ア 受注関係者(同居の親族のみを使用する者を除く。)に雇用され、市契約に基づく業務に関わっている労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する労働者(家事使用人を除く。)
イ 労働者派遣法の規定により、受注関係者のために市契約に基づく業務に関わっている労働者(以下「派遣労働者」という。)
(8) 最低賃金額 最低賃金法(昭和34年法律第137号)第3条に規定する最低賃金額(同法第7条の規定の適用を受ける労働者については、当該最低賃金額から同条の規定により減額した額)をいう。
(9) 労働関係法令 次に掲げる法律及びこれらに基づく命令をいう。
ア 労働基準法
イ 労働組合法(昭和24年法律第174号)
ウ 最低賃金法
エ 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)
オ 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)
カ 労働者派遣法
キ 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年法律第76号)
ク 労働契約法(平成19年法律第128号)
ケ 健康保険法(大正11年法律第70号)
コ 厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)
サ 雇用保険法(昭和49年法律第116号)
シ 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和44年法律第84号)
(基本方針)
第3条 基本方針は、次の各号に掲げるとおりとする。
(1) 市内事業者が受注する機会を増大させ、地域経済の活性化に努めること。
(2) 市契約に基づく業務に関わる労働者の適正な労働条件を確保し、労働環境の整備に努めること。
(3) 市契約に基づく業務の適正な履行及びその質を確保し、良質な公共サービスの提供に努めること。
(市の責務)
第4条 市は、工事の発注、業務、物品及び役務の調達等にあたっては、契約の公正性、競争性及び透明性の確保を図りつつ、契約の履行に必要となる専門的な知識又は技術を有する市内事業者が存在しない場合、その他特別な事情がある場合を除き、市内事業者への受注機会の拡大に努めるとともに、受注関係者に対し、労働関係法令を遵守させるための措置を講ずることにより、労働者等に対する最低賃金額以上の賃金の支払その他の労働者等の適正な労働条件の確保を図るものとする。
(受注関係者の責務)
第5条 受注関係者は、労働関係法令を遵守すること等により、労働者等に対する最低賃金額以上の賃金の支払その他の労働者等の適正な労働条件を確保しなければならない。
2 受注者は、市契約に基づく業務の一部を下請負者に行わせ、又は当該業務に派遣労働者を関わらせようとする場合においては、その行わせ、又は関わらせる者は、労働関係法令を遵守する旨を誓約した者でなければならない。
3 受注者は、前項の下請負者が労働関係法令を遵守していないと認めるときは、当該下請負者に対し、指導その他の労働者等の適正な労働条件を確保するために必要な措置を講ずるものとする。
(契約書の記載事項)
第6条 契約担当者は、丹波市財務規則第90条第1項第13号に規定する必要な事項として、次の各号に掲げる事項をその作成する市契約に係る契約書に記載するものとする。
(1) 受注関係者は、労働関係法令を遵守すること。
(2) 受注関係者は、労働者等の適正な労働条件を確保するための必要な措置を講ずること。
(3) 受注関係者が労働者等に対して最低賃金額以上の賃金の支払を行っていない旨の申出があった場合における受注関係者に対する次に掲げる事項
ア 第9条の規定による労働基準監督署への通報に必要な情報について報告を求めること。
イ 第10条第1項の規定による最低賃金額以上の賃金の支払の実施及びその報告を求めること。
ウ 当該申出をしたことを理由とする解雇その他の労働者等に対する不利益な取扱いをしないこと。
(4) 受注関係者が労働基準監督署又は労働基準監督官から労働者等に対する賃金の支払における最低賃金法の違反について行政指導を受けた場合における受注関係者に対する次に掲げる事項
ア 当該行政指導に対する方針について市への報告を求めること。
イ 当該違反を是正するための措置について市への報告を求めること。
(5) 前各号の規定により市が得た情報を労働基準監督署へ提供すること。
(6) 第11条各号のいずれかに該当し、契約を解除する場合における次に掲げる事項
ア 受注関係者に生じた損害に対して、市は賠償の責任を負わないこと。
イ 受注者に対して、違約金を請求すること。
(誓約書)
第7条 契約担当者は、市契約に基づく業務に関わる労働者の適正な労働条件の確保を確実なものとするため、市契約を締結するときまでに受注者から労働関係法令を遵守する旨等を記載した別に定める誓約書を徴取するものとする。ただし、契約金額が200万円以下の市契約を締結する場合はこの限りでない。
3 前2項の規定による誓約書の徴取は、市契約に係る一般競争入札、指名競争入札又はせり売りに参加しようとする者(随意契約の方法により市契約を締結しようとする場合にあっては、当該市契約を締結しようとする者)に対して、入札公告、入札通知書等により知らせるものとする。
(労働関係法令違反の申出の記録等)
第8条 契約担当者は、受注関係者が労働関係法令を遵守していない旨の申出があった場合においては、その内容を記録するとともに、当該申出をした者に対して関係行政機関への通報を促すものとする。
(労働基準監督署への通報等)
第9条 契約担当者は、前条の申出が労働者等に対して最低賃金額以上の賃金の支払が行われていない旨のものであるときは、当該申出の内容を労働基準監督署に通報するものとする。
2 前項の場合において、契約担当者は、受注関係者に対する指導その他の労働者等の適正な労働条件を確保するために必要な措置について労働基準監督署に意見を聴くものとする。
(最低賃金額以上の賃金の支払の求め)
第10条 契約担当者は、労働基準監督署から受注者に雇用されている労働者等の賃金が最低賃金額に達しない旨の意見を受けたときは、受注者に対し、当該労働者等に最低賃金額以上の賃金の支払を行うこと及び当該支払の状況を報告することを求めるものとする。
2 契約担当者は、労働基準監督署から下請負者に雇用されている労働者等の賃金が最低賃金額に達しない旨の意見を受けたときは、受注者に対し、当該労働者等に最低賃金額以上の賃金の支払を行う旨の指導を当該下請負者に行うこと及び当該支払の状況を報告することを求めるものとする。
(市契約の解除)
第11条 契約担当者は、次の各号のいずれかに該当するときは、市契約を解除することができるものとする。
(1) 受注関係者が、市に対し、この要綱に規定する報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。ただし、受注者が下請負者に対してこの要綱に基づき必要な措置を講じたにもかかわらず、下請負者が受注者に対して当該報告をせず、又は虚偽の報告をしたときを除く。
(2) 労働者等に対する賃金の支払について、受注関係者が最低賃金法第4条第1項の規定に違反したとして検察官に送致されたとき。
(受注関係者への要求)
第12条 契約担当者は、受注関係者が次の各号のいずれかに該当するときは、受注者に対して当該下請負者と締結している契約を解除するよう求めるものとする。
(1) 受注関係者に対し、この要綱に規定する報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
(2) 労働者等に対する賃金の支払について、最低賃金法第4条第1項の規定に違反したとして検察官に送致されたとき。
(関係行政機関との連携)
第13条 この要綱に定めるもののほか契約担当者は、労働者等の適正な労働条件の確保のために必要な措置を講ずるに当たっては、労働基準監督署その他の関係行政機関との連携を緊密に図るものとする。
附則
この要綱は、平成31年4月1日から施行する。