○丹波市男女共同参画推進条例
平成31年3月7日
条例第4号
私たちのまち丹波市は、本州で最も低い中央分水界を中心に南北に伸びる氷上回廊を始め、豊かな自然に恵まれた環境の中で、人や文化など多様なものを受け入れる風土を育み、今日まで発展してきました。市民一人ひとりが尊重され、それぞれの個性や生き方を認め合い、男女が共に支え合う社会の実現は私たち市民の共通の願いです。
国においては、個人の尊重と法の下の平等がうたわれている日本国憲法の下、国際社会における取組とも連動しつつ、男女平等の実現に向けた様々な取組が進められてきました。丹波市においても、丹波市男女共同参画計画を策定し、様々な施策を進めてきましたが、世代間での考え方の違いや性別による固定的な役割分担意識に基づく社会制度や慣行が根強く残るなど、解決しなければならない課題がなお多くあります。
人口減少社会の到来や社会経済情勢が大きく変化する中、将来にわたって活力あるまちを持続していくためには、男女が互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会を実現させることが重要です。
私たちはここに、市、市民、事業者、団体等が協働して、誰もがいきいきと暮らせる男女共同参画社会の実現を決意するとともに、男女共同参画社会づくりに関する取組を総合的に推進していくため、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、市、市民、事業者及びその他の者の責務を明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項を定め、当該施策を総合的かつ計画的に実施することにより、男女共同参画社会の実現を図ることを目的とします。
(1) 男女共同参画 すべての人が性別にかかわりなく、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もってすべての人が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいいます。
(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいいます。
(3) 市民 市内に居住、通勤又は通学する者をいいます。
(4) 事業者 市内において事業活動を行う個人又は法人その他団体をいいます。
(5) 市民団体 市民を主な構成員として市内において自発的で自律的な活動を行う団体をいいます。
(6) 教育関係者 市内において学校教育、社会教育、家庭教育その他のあらゆる教育に携わる個人又は法人その他団体をいいます。
(7) 市民等 市民、事業者、市民団体及び教育関係者をいいます。
(8) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により相手方を不快にさせ、その者の生活環境を害すること又は性的な言動を受けた相手方の対応により、その者に不利益を与えることをいいます。
(9) ドメスティック・バイオレンス 配偶者(配偶者であった者を含む。)又は交際相手等親密な関係にある者(親密な関係にあった者を含む。)の間で行われる身体的、精神的、社会的、経済的又は性的な暴力をいいます。
(10) ワーク・ライフ・バランス 誰もがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭生活、地域生活等との調和を保ち、人生の各段階に応じて多様な生き方を選択及び実現できることをいいます。
(基本理念)
第3条 男女共同参画は、次の各号に掲げる基本理念に基づき、推進するものとします。
(1) 男女の個人としての尊厳が重んじられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと及び男女が性別にかかわりなく個人として能力を発揮する機会が確保されること並びにあらゆる人の人権が尊重され、配慮されること。
(2) 社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の自由な選択に対して影響を及ぼすことのないように配慮されること。
(3) 男女が社会の対等な構成員として、社会のあらゆる分野における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。
(4) 家族を構成する男女が相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動を行うことができるようにすること。
(5) 男女が互いの性に対する理解を深め、妊娠、出産等について個人の意思が尊重され、生涯にわたり健康な生活を営むことができるように配慮されること。
(6) 市民等が地域社会を構成する一員としての自覚と責任を持ち、自発的かつ自主的に男女共同参画を推進する活動に参画するとともに、当該活動に参画する他のものと協働して取り組むこと。
(7) 男女共同参画の推進は、国際社会における取組と密接な関係を有することから、国際的な協調の下に行うこと。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及び実施するものとします。
2 市は、男女共同参画の推進に関する施策を実施するに当たっては、国、他の地方公共団体及び市民等との連携に努めるものとします。
3 市は、職員一人ひとりの男女共同参画に関する認識を高める等、自ら率先して男女共同参画の推進に努めるものとします。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、男女共同参画に関する理解を深め、社会のあらゆる分野において、男女共同参画の推進に努めるものとします。
2 市民は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとします。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動において、男女共同参画の推進に取り組むよう努めるものとします。
2 事業者は、男女が仕事と家庭生活その他の活動とを両立して行うことができる職場環境を整備するよう努めるものとします。
3 事業者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとします。
(市民団体の責務)
第7条 市民団体は、基本理念にのっとり、その運営又は活動に関する方針の決定等について、男女が対等に参画する機会を確保するとともに、男女が性別にかかわりなく能力を発揮できる環境を整備するよう努めるものとします。
2 市民団体は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとします。
(教育関係者の責務)
第8条 教育関係者は、男女共同参画の推進に果たす教育の重要性を認識し、基本理念にのっとり、教育を行うよう努めるものとします。
2 教育関係者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとします。
(性別による権利侵害の禁止)
第9条 すべての人は、社会のあらゆる分野において、性別による差別的取扱い、セクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンス、性別によるその他の権利侵害を行ってはなりません。
(公衆に表示する情報に関する留意)
第10条 すべての人は、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担及び暴力的行為を助長し、又は連想させる表現並びに著しく性的感情を刺激する表現を行わないよう努めなければなりません。
(男女共同参画計画)
第11条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「男女共同参画計画」という。)を定めるものとします。
3 市長は、男女共同参画計画を定めたときは、速やかに公表するものとします。
4 前2項の規定は、男女共同参画計画の変更について準用します。
(施策の策定等に当たっての配慮)
第12条 市は、男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、男女共同参画の推進に配慮するものとします。
(推進体制の整備)
第13条 市は、男女共同参画の推進のため、必要な体制を整備するとともに、財政上の措置を講ずるよう努めなければなりません。
(附属機関等における構成員の男女の均衡)
第14条 市は、その設置する附属機関等の委員その他の構成員を任命し、又は委嘱する場合には、男女の数の均衡に努めるものとします。
(市民等の理解を深めるための措置)
第15条 市は、男女共同参画の推進について、市民等の理解を深めるため、広報活動その他の適切な措置を講ずるものとします。
(市民等に対する支援)
第16条 市は、市民等が行う男女共同参画の推進に関する自主的な取組に対し、情報の提供その他の必要な支援を行うよう努めるものとします。
(ワーク・ライフ・バランスの推進)
第17条 市は、男女が共にワーク・ライフ・バランスを図ることができるよう必要な支援を行うよう努めるものとします。
(男女共同参画に関する教育の推進)
第18条 市は、学校教育、社会教育その他のあらゆる教育の分野において、男女共同参画を推進するための教育の充実に努めるものとします。
(防災及び減災の分野における施策の推進)
第19条 市は、防災及び減災の分野において、男女共同参画の視点を取り入れた災害対策及び被災者支援を推進するため、必要な施策を講ずるよう努めるものとします。
(ドメスティック・バイオレンスの防止等)
第20条 市は、関係機関と連携して、ドメスティック・バイオレンスの防止に努めるとともに、当該暴力の被害を受けた者を保護し、及び自立を支援するため必要な措置を講ずるものとします。
(苦情等への対応)
第21条 市は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に関し、市民等から苦情又は意見の申出があったときは、適切に対応するものとします。
2 市は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害する行為に関し、市民等から相談の申出があったときは、関係機関と連携し、必要な支援を行うものとします。
3 市長は、前2項に規定する苦情等への対応について必要があると認めるときは、審議会の意見を聴くことができるものとします。
(調査研究)
第22条 市は、男女共同参画の推進に関する施策の策定及び実施に必要な調査研究を行うものとします。
(拠点施設)
第23条 市は、男女共同参画を推進する施策を実施し、市民等による男女共同参画の取組を支援するための総合的な拠点施設の整備及び機能の充実に努めるものとします。
(年次報告)
第24条 市長は、男女共同参画計画に基づく施策の実施状況を取りまとめた年次報告を作成し、これを公表するものとします。
(丹波市男女共同参画審議会)
第25条 男女共同参画の推進に関する重要な事項について調査審議するため、市長の附属機関として丹波市男女共同参画審議会を置きます。
2 審議会は、前項に定めるもののほか男女共同参画の推進に関し必要と認められる事項について、市長に意見を述べることができます。
3 審議会は、委員15人以内で組織します。
4 委員は、識見を有する者、関係団体から推薦を受けた者及び公募による市民のうちから市長が委嘱します。
5 委員の任期は、2年とします。ただし、再任は妨げません。
6 委員が欠けた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とします。
7 前各項に定めるもののほか審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が別に定めます。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成31年4月1日から施行します。
(丹波市男女共同参画審議会設置条例の廃止)
2 丹波市男女共同参画審議会設置条例(平成30年丹波市条例第5号)は、廃止します。