高病原性鳥インフルエンザについてのQ&A
Q1.鳥インフルエンザとはどんな病気ですか?
A.鳥インフルエンザとは鳥類がA型インフルエンザウイルスに感染して起こる病気です。A型インフルエンザウイルスに感染して発病する鳥類は、鶏や七面鳥等の家きんが主で、野鳥での発病は希です。鳥類に感染するA型インフルエンザウイルスを総称して鳥インフルエンザウイルスといいます。 家畜伝染病予防法では「鳥インフルエンザ」は、インフルエンザウイルス感染による家きん(鶏、あひる、うずら、七面鳥)の病気のうち、高病原性鳥インフルエンザでないものを指します。つまり、H5あるいはH7亜型以外の弱毒な鳥インフルエンザウイルス感染による家きんの病気と言えます。
Q2.高病原性鳥インフルエンザとは、どのような病気ですか?
A.高病原性鳥インフルエンザとは、家畜伝染病予防法で定められている、
以下の1)から 3)のいずれかにあてはまるA型インフルエンザウイルスの感染による鶏、あひる、うずら、七面鳥の病気をいいます。強毒型の高病原性鳥インフルエンザウイルスによる感染では、感染した鶏の大半が死亡するなど大きな被害が出ます。ただし、病原性が低いH5あるいはH7亜型感染の場合は、無症状あるいは軽い呼吸器症状や産卵率の低下をしめす程度です。
1)静脈内接種で鶏を高率に死亡させる鳥インフルエンザウイルス
2)H A蛋白の開裂部位のアミノ酸配列が弱毒型のウイルス
3)病原性の高低にかかわらずすべてのH5あるいはH7亜型の鳥インフルエンザウイルス
Q3.鶏はどんな症状を出しますか?
A.感染鶏群では死亡する鶏が増加します。主な症状は、元気消失、食欲・飲水欲の減退、産卵率の低下、呼吸器症状、下痢、神経症状などで、肉冠・肉垂・顔面の腫れやチアノーゼ、脚の浮腫や皮下出血などの病変が報告されています。 高病原性鳥インフルエンザの症状は感染したウイルスが持っている病原性の強さ、他の病原体との混合感染、鶏舎内外の環境原因などによって多様です。病原性が強いウイルスの場合には、鶏は短期間に高率に死亡するものの、明瞭な症状や病変を示さない例もあります。一方、不顕性感染や軽い元気消失のみで経緯する病原性の弱いウイルスも存在します。 H5、H7亜型のウイルスの場合、流行当初は弱毒であっても家きんの間で感染を繰り返すうちに数ヶ月後には強毒に変異する場合がありますから注意が必要です。
Q4.ウイルスが海外から日本へ侵入するルートには、どんなものがありますか?
A.1) 輸入鳥類(家きん、愛玩鳥等)を介して侵入するルート、
2) 渡りの水きん類や野鳥を介して侵入するルート、
3) 海外の発生国から肉や卵を輸入することによって侵入するルート、
4) 海外の発生地からヒトが持ち込むルートが考えられます。 輸入鳥類のルートでは、鶏等の家きんについては輸入検疫で監視されており、本病が発生した国からは生きた鳥類およびその肉や卵の輸入が停止されています。また、渡り鳥のルートは、鳥やそれらの糞との接触を避けることで、鶏群への侵入を防止できます。また、ヒトが履き物や衣服等にウイルスを付けて持ち込まないように、発生地の農場等を訪問しないことも肝要です。
Q5.ウイルスが農場へ侵入するルートには、どんなものがありますか?
A.農場への侵入ルートとしては、1)ウイルスに感染している鶏を導入した場合、2) ウイルスに汚染された器材・車両・卵ケースなどを使用した場合、3)人の衣服、手、長靴などを介してウイルスが持ち込まれた場合が考えられます。また、4)野鳥が出入りできる鶏舎の場合や屋外養鶏場では、感染した野鳥がウイルスを持ち込む可能性があります。
ウイルス侵入の機会を少なくするためには、鶏、器材等の移動は必要最小限とし、消毒できるものは消毒してから、農場に持ち込むようにして下さい。特に、鳥インフルエンザの発生報告があった直後は注意が必要です。また、野鳥が侵入しない鶏舎構造に変える、野鳥の糞で汚染されている可能性がある水や餌を鶏に与えないことも大切です。
Q6.農場で発生が疑われた場合には、どうすればよいのですか?
A.早くに最寄りの家畜保健衛生所または獣医師に連絡して、診断を受けて下さい。診断が遅れますと、それだけ汚染が拡大することになり、被害が大きくなります。飼育している鶏が次々に死ぬ様子がおかしいと思ったらすぐに診断を受ける必要があります。
Q7.農場で発生した場合には、どのような防疫措置が取られますか?
A. 高病原性鳥インフルエンザの防疫措置は農林水産省が発出した「高病原性トリインフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針」に沿って行われます。 本病であることが確認されますと、発生農場及び発生農場と同一飼養者が管理している農場の家きんはすべて殺処分され、死体は焼却・埋却または消毒されます。また、農場全体は閉鎖、消毒され、人の出入りも禁止されます。 また、発生農場を中心とした半径10km(5~30Km)の区域では、21日間以上、生きた家きん、死体、その生産物と排泄物の移動が原則禁止されます。しかし、採卵養鶏場について規定の検査でウイルスの存在が確認されない場合は、鶏卵の出荷は認められます。また、区域内のすべての養鶏場について、2回にわたりウイルス感染の有無を家畜防疫員が調べることになっています。 最終発生の防疫措置が終了してから、21日間に続発がなければ、基本的には移動禁止は解除されますが、その後も3ヶ月間は区域の監視が継続されます。すべての農場で、清浄確認検査によりウイルス感染が否定された場合に、清浄宣言が出されます。
Q8.どんな消毒薬が有効ですか?
A.インフルエンザウイルスは表面がエンベロープと呼ばれる壊れやすい膜で覆われているので、次亜塩素酸ナトリウム液、アルカリ液、ホルムアルデヒド液などの多くの消毒薬が有効です。発生農場の消毒は、一週間間隔で3回以上消毒することとされています。また、ウイルスの感染性は70℃以上、1秒の加熱で失われます。
Q9.鳥用のワクチンはありますか?
A. 海外では鳥用のワクチンが生産されていますが、日本を含め世界の多くの国ではワクチンを使用せずに、殺処分による防疫措置が採られています。その理由は、ワクチンは発病を防ぐことはできますが、ウイルスの感染および排泄を防ぎきれないためで、以下のような問題点があります。1)発症及び死亡の軽減により感染の発見が遅れてその間に他の鶏群に蔓延する危険がある、2)接種群は定期的にウイルス侵入の有無を検査する必要があり、侵入が確認された場合には接種群も淘汰となる、3)清浄化までに長期間を有し、海外発生国からの生きた家きんおよび家きん肉の輸入禁止措置がとれなくなることにより養鶏業の国際的競争力が低下する可能性がある。4)ウイルスが長期残存し、ヒトに感染する新型ウイルスの出現につながるおそれがある。 なお、農林水産省は、万一発生が拡大し、摘発淘汰だけでは防疫不能となった場合に備え、輸入ワクチンを備蓄しており、更に国産ワクチンの開発を進めています。 万が一の場合の鳥インフルエンザワクチン使用は国の監視下で行うことになっており、それ以外での使用は違法行為となります。
Q10.本病を発生させないためには、どうしたらよいのですか?
A.ウイルスが海外から侵入するルート(Q4)、農場へ侵入するルート(Q5)の両者を遮断すれば、農場での発生を防止できます。
また、1)国レベルで行う、海外における発生状況の把握と輸入検疫の強化、2)県レベルで行う、国内農場の定期的モニタリング調査と汚染防止に関する啓蒙指導、3)鶏飼養者レベルで行う、農場への出入り制限と消毒の徹底によって、本病の発生は阻止できます。
Q11.鳥インフルエンザウイルスが人に感染することはありますか?
A.ほとんどの鳥インフルエンザウイルスは人には感染しませんが、例外的に一部のウイルスが人に直接感染することが最近報告されるようになりました。 それが、1997年の香港市民の感染(H5N1;18名が感染し6名死亡)、2003年の福建省に旅行した香港家族の感染(H5N1;2名が感染し1名が死亡)、2003年のオランダにおける防疫従事者の感染(H7N7:約80名が感染し1名が死亡)、2004~2006年のベトナム、タイ、カンボジア、インドネシア、中国、トルコ、エジプト、アゼルバイジャン、イラク等市民の感染(H5N1)等です。 アジアでH5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染した重症患者では、肺炎、多臓器不全などの症状が報告されており、オランダでのH7N7亜型感染による軽症者の多くで結膜炎が報告されています。
Q12.農場で発生した場合には、農場関係者や防疫従事者の感染をどう防ぐのですか?
A.万が一のことを考えて、感染防止策を採る事を厚生労働省は勧めています。 農場関係者や防疫従事者がウイルスを吸い込んだり、飲み込んだりしないように、つなぎを着用し、ゴム手袋をつけ、ゴーグルと医療用マスク等で防護して下さい。また、作業終了後には石鹸で手を洗い、うがいをしてください。 作業に従事した者は、感染の可能性のある期間は健康に注意して、発熱などのインフルエンザ様症状がでたら、直ちに医師の診察を受けて下さい。感染初期であれば抗ウイルス薬が有効です。 Q14.鶏肉や鶏卵を食べて感染することはありますか?
A.食品としての鶏肉や鶏卵を食べることによって、人が感染した例はありません。また、発生した場合には、発生農場を中心とした半径5~30Kmの区域にある農場の生産物は、ウイルス検査陰性でないと出荷できなくなりますから、ウイルス汚染鶏卵や鶏肉が市場に出回ることはほとんどありません。なお、ウイルスは適切な加熱により完全に死滅します。 (独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 HP参照)
Q13.ペットや学校で飼っている鳥は安全ですか?
A. これまでの科学的知見によれば、鳥インフルエンザウイルスは多くの種類の鳥類に感染しますが、国内で鳥インフルエンザが発生したためにこれまでペットとして家庭などで飼育していたニワトリや小鳥が直ちに危険になるということはありません。しかし、鳥は鳥インフルエンザに限らず、ヒトに感染するその他のウイルスや細菌などの病原体を持っている可能性があります。鳥を飼う場合は衛生状態に注意を払い、鳥に触った後の手洗いや糞尿の早くな処理などを行うことが勧められます。鳥が普段と様子が違うとか、弱っているなど、健康状態に異常があった場合は獣医師に相談し、飼い主が身体に不調を感じた場合は早めに医療機関を受診することも大切です。 また飼っている鳥などが死んでいるのが発見された場合には、最寄りの獣医師または家きんの場合は家畜保健衛生所に相談して頂くのが理想的ですが、特に、次々に飼っている鳥が死んでいくなど異常と考えられる場合には、早くに最寄りの獣医師等に連絡して下さい。
Q14.野鳥は安全ですか?
A.2003年以降東南アジアからユーラシア大陸に広がっているH5N1亜型による高病原性鳥インフルエンザの集団発生は、野鳥(特に水禽類を含む渡り鳥)が伝播に関与している可能性が考えられています。しかし、飛んでいる鳥はもとより野鳥と接触したヒトが感染した事例はなく、野鳥との接触が特別危険であるということはありません。野鳥との接触には鳥インフルエンザ以外の病気に関する心配もないわけではありませんので、接触後には手洗いなどを励行しましょう。
Q15.野鳥が死んでいる時にはどのように対応すればよいですか?
A.ペットの鳥や野鳥が死んだ場合には、鳥インフルエンザ以外にも様々な細菌や寄生虫の感染や、衰弱死、電線での感電、何らかの毒物の摂取など多くの死亡原因が考えられますので、鳥が死んだからといって直ちに鳥インフルエンザを疑うことはありませんが、通常野鳥の死体がみられないような場所でみつかったとか、複数の鳥が死んでいるとか、周辺の状況から異常と考えられる場合には、素手で触ったりそのまま土に埋めたりせずに、都道府県の鳥獣保護部局へ連絡して下さい。 (国立感染症研究所 感染症情報センター HP参考)
Q16.ペットや学校で飼っている鳥は安全ですか?
A.これまでの科学的知見によれば、鳥インフルエンザウイルスは多くの種類の鳥類に感染しますが、国内で鳥インフルエンザが発生したためにこれまでペットとして家庭などで飼育していたニワトリや小鳥が直ちに危険になるということはありません。しかし、鳥は鳥インフルエンザに限らず、ヒトに感染するその他のウイルスや細菌などの病原体を持っている可能性があります。鳥を飼う場合は衛生状態に注意を払い、鳥に触った後の手洗いや糞尿の早くな処理などを行うことが勧められます。鳥が普段と様子が違うとか、弱っているなど、健康状態に異常があった場合は獣医師に相談し、飼い主が身体に不調を感じた場合は早めに医療機関を受診することも大切です。 また飼っている鳥などが死んでいるのが発見された場合には、最寄りの獣医師または家きんの場合は家畜保健衛生所に相談して頂くのが理想的ですが、特に、次々に飼っている鳥が死んでいくなど異常と考えられる場合には、早くに最寄りの獣医師等に連絡して下さい。
Q17.鳥を飼っている場合、気をつけることはありますか?
A.国内で鳥インフルエンザが発生したからといって、直ちに家庭等で飼っている鳥が感染するということはありません。鳥を飼うときに次のことに気を付けていただければ、心配する必要はありませんので、飼っている鳥を野山に放したり、処分をするようなことはしないで下さい。 ・鳥インフルエンザウイルスを運んでくる可能性がある野鳥が近くに来ないようにしましょう。・鳥を飼っている場所はこまめに掃除し、フンはすぐ片付けましょう。 ・エサや水はこまめに取り替えましょう。 ・鳥の体やフンに触れた後は、手洗いとうがいをしましょう。 ・口移しでエサをあげたりするのはやめましょう。 これらは、鳥インフルエンザウイルス以外の鳥が持っているかもしれないウイルスや細菌、寄生虫から自分の身を守ることにもつながります。
Q18.飼っている鳥が死んでしまった場合は、どうすればよいですか?
A.鳥は生き物ですから、人と同じようにいつかは死んでしまいます。そして、その原因も様々ですから、鳥が死んだからといって直ちに鳥インフルエンザを疑う必要はありません。原因がわからないまま、鳥が次々に死んでしまうということがない限り、鳥インフルエンザを心配する必要はありません。原因がわからないまま、鳥が連続して死んでしまったという場合には、その鳥に素手で触ったり、土に埋めたりせずに、なるべく早く獣医師やお近くの家畜保健衛生所(動物衛生研究所ホームページへ)または保健所(国立感染症研究所ホームページへ)にご相談下さい。死んだ鳥は素手で触らないようにしましょう。これは、鳥インフルエンザウイルスや、鳥が持っているかもしれないその他のウイルスや細菌、寄生虫から自分の身を守るためです。死んだ鳥の処分の仕方については、お住まいの市町村、獣医師、お近くの家畜保健衛生所(動物衛生研究所ホームページへ)や保健所(国立感染症研究所ホームページへ)にご相談下さい。
Q19.野鳥が死んでいるのを見つけた場合はどうすればよいですか?
A.野鳥も様々な原因で死にます。飼われている鳥と違って、エサが取れずに衰弱したり、環境の変化に耐えられずに死んでしまうこともあります。また、野鳥が死んだ場合には、鳥インフルエンザウイルスだけでなく、様々なウイルスや細菌、寄生虫が人に感染するのを防ぐことが必要です。野鳥が死んでいるのを見つけたときは、こうしたウイルスや細菌、寄生虫に感染しないよう、死んだ鳥を素手で触らないようにしましょう。死んだ鳥の処分の仕方については、お住まいの市町村、獣医師、お近くの家畜保健衛生所(動物衛生研究所ホームページへ)や保健所(国立感染症研究所ホームページへ)にご相談下さい。万一、野鳥が密集して死んでいる場合には、毒物などを食べて死んだことも疑われます。この場合には、事件の可能性もありますので、お近くの警察や家畜保健衛生所、保健所にご連絡下さい。
Q20.大量死や連続死以外は、なぜ死亡野鳥の回収・検査をしないのか?(または、死亡野鳥を発見したが高病原性鳥インフルエンザの可能性はないのか?)
A.同一箇所での大量死・連続死でない限り、野鳥の高病原性鳥インフルエンザの可能性はないと判断しています。また、野鳥から人への感染事例もありませんのでご安心下さい。海外で鶏から感染した事例は、人が鶏と濃厚な接触を持っていた事例です。 鶏への感染につきましても、野鳥がウイルスを媒介するとの説もありますが、養鶏場では野鳥が侵入をしないネットを張るなどの対策に取り組まれておりますのでご安心下さい。 野鳥は、寄生虫や細菌など様々なものを持っていることがありますので、できるだけ手を触れないで下さい。ウイルス類は、生きた細胞以外では生存することができませんので、死体を見つけても心配しないで下さい。
Q21.野鳥の死骸を処理する場合はどのようにしたらよいのか?
A.野鳥は、いろいろな細菌や寄生虫をもっていることがありますので、素手で直接触らないようにして下さい。処理に当たっては、手袋をして、火ばしなどでつまんでビニール袋に入れた上、袋の口を縛って処理して下さい。処理後は、手洗いとうがいを十分して下さい。
Q22.弱っている野鳥を見つけたが、どうすればよいか?
A.野生の鳥は、気候変動や餌条件、仲間同士の争いなど厳しい自然条件のもとで生活しており、その自然界のおきての中で弱って死んでしまうものがいます。かわいそうではありますが、自然の成り行きにまかせるというのがペットと違う野生鳥獣に対する人間の考え方と判断しておりますので、放っておける場合は、できるだけそのままにしておいて下さい。 巣から落ちたヒナの場合は、親鳥が必ず近くにいて救おうとしているはずですので、そのままにしてやって下さい。人がヒナを拾ったり、巣に返したりすると、人間の匂いがついて親鳥がヒナを見放す場合があります。 傷病鳥獣で、どうしても放っておけない場合は、野生鳥獣救護病院に搬送していただき、「県の傷病鳥獣救急制度で診察をお願いしたい」と依頼して下さい。無理な場合は、農林振興課へ連絡して下さい。 尚、搬入に当たっては、素手で触れないよう気をつけて、厚めの新聞紙を敷いた大きめのダンボール箱等に入れて持ち込んでください。