子宮頸がんワクチンの接種を考えている中高生の皆さんへ
丹波市医師会 中川卯衣先生より

中川卯衣先生
プロフィール
2003年富山大学卒業。現在は山南町の中川内科医院で0歳から100歳まで診るママさんドクターをしています。趣味は読書と文楽鑑賞。
診療のかたわら丹波新聞で医療や健康についてのコラム「ママちゃん先生の診察室から」を不定期連載中。また、丹波市教育委員として小中学生が健やかに成長するためのお手伝いをしています。
みなさんこんにちは。わたしは娘が2人いるママさんドクターです。長女は中1のとき話し合ってワクチンを接種しました。今回は、みなさんにもその話をしたいと思います。
子宮頸がんワクチンは、ヒトパピローマウイルスの感染を防いでくれるワクチンです。このウイルスは、子宮頸がん発症の主な原因となります。子宮頸がんは、日本人女性の20歳代30歳代がかかる癌の中で最も多い癌です。治っても不妊になったり、小さい子供を残して亡くなる人も多い悲しい病気です。
このワクチンは、子宮頸がんからあなたを守ってくれるワクチンなのです。(20歳をすぎたら検診もお忘れなく!)
みなさんの中には、昔聞いた健康被害を心配する人もいるかもしれません。その後10年以上研究と観察が続けられ、子宮頸がんワクチン特有の副反応はなく接種部位の痛み・腫れなどがほとんどであることから、効果が副反応を上回ると判断されました。ただ、極度の緊張で気分が悪くなる人もいるので、接種後15分間は院内で休憩してもらうことになっています。
このワクチンの最適時期は、あなたが初めて性交渉をする前です。性交渉後に接種しても効果がないわけではありませんが、その前がよいでしょう。そのため、このワクチンは小学6年生から高校1年生相当の女性が対象となっています。ただ、積極的勧奨を控えていた時期が長かったため、令和7年3月末までは高校2~3年生の皆さんも含めてそれ以上の年齢の方も公費負担で接種を受けることができます。3回接種する必要があるので、遅くても今年の9月までには1回目をうけることを検討してください。
すでに接種したことのある友達に、話を聞いてみてください。もちろん、病院の先生にもっと詳しい話を聞くのもとてもいいと思います。その時、天気の悪い日は頭が痛いとか、よくおなかが痛くなるとか、生理痛がつらいとか、あなたの体の不都合があれば相談してみてください。ワクチンのことも、体調や薬との付き合い方についてもあなたが納得いくまで説明してくれると思いますよ。
定期接種対象年齢
小学校6年~高校1年生相当年齢の女子
(標準的な接種時期は中学1年生)
接種ワクチン・スケジュール
令和5年4月1日から、シルガード9(9価)が対象ワクチンとして追加され、従来からあるサーバリックス(2価)と、ガーダシル(4価)を含めて、3種類のワクチンの中から選択できるようになりました。3回とも同じワクチンで接種しますが、すでにサーバリックスまたはガーダシルを1回または2回接種している方が、医師と相談の上、シルガード9に変更することも可能です。
なお、サーバリックスまたはガーダシルの接種回数は3回ですが、シルガード9については1回目の接種開始年齢によって接種回数が異なりますのでご注意ください。(15歳未満で1回目を接種した場合は2回、15歳以上で接種開始した場合は3回)
- 参考:厚生労働省ホームページ 9価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(シルガード9)について(厚生労働省のサイト)
頻度 | サーバリックス(2価) | ガーダシル(4価) シルガード9(9価)(注意)1回目の接種開始年齢が15歳以上 |
シルガード9(9価)(注意)1回目の接種開始年齢が15歳未満 |
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標準的な間隔 | 1月以上の間隔を置いて2回接種した後、1回目の接種から6月の間隔をおいて1回。(計3回) | 2月以上の間隔を置いて2回接種した後、1回目の接種から6月の間隔をおいて1回。(計3回) | 1回目の接種から6月の間隔をおいて1回。(計2回) |
標準的な接種方法をとることができない場合 | 1月以上の間隔を置いて2回接種した後、1回目の接種から5月以上、かつ2回目の接種から2月半以上の間隔をおいて1回。 | 1月以上の間隔をおいて2回接種したあと、2回目接種から少なくとも3月以上の間隔をおいて1回。 |
1回目と2回目の接種は、通常5月以上の間隔をおいて1回。5月未満である場合は、3回目の接種が必要。 |
副反応について
HPVワクチン接種後に見られる主な副反応として、発熱や接種した部位の痛みや腫れ、注射による痛み、恐怖、興奮などをきっかけとした失神などが挙げられます。
頻度 | サーバリックス(2価) | ガーダシル(4価) | シルガード9(9価) |
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50%以上 | 疼痛・発赤・腫脹、疲労 | 疼痛 | 疼痛 |
10%~50%未満 | 掻痒(かゆみ)、腹痛、筋痛、関節痛、頭痛など | 腫脹、紅斑 | 腫脹、紅斑、頭痛 |
1~10%未満 | じんましん、めまい、発熱 など | 頭痛、そう痒感、発熱 | 浮動性めまい、悪心、下痢、そう痒感、発熱、疲労、内出血など |
1%未満 | 知覚異常、感覚鈍麻、全身の脱力 | 下痢、腹痛、四肢痛、筋骨格硬直、硬結、出血、不快感、倦怠感など | 嘔吐、腹痛、筋肉痛、関節痛、出血、血種、倦怠感、硬結など |
頻度不明 | 四肢痛、失神、リンパ節症など | 失神、嘔吐、関節痛、疲労など | 感覚鈍麻、失神、四肢痛など |
市内実施医療機関
市内の子宮頸がん予防接種実施医療機関一覧 (PDFファイル: 229.1KB)
問い合わせおよび申請先
〒669-3464 丹波市氷上町石生2059-5 丹波市健康センターミルネ2階
健康課予防接種係
電話 0795-88-5750
参考
知ってくださいHPVと子宮頸がんのこと (PDFファイル: 1.1MB)
小学校6年生から高校1年生相当の女の子と保護者の方への大切なお知らせ(概要版) (PDFファイル: 3.4MB)
小学校6年生から高校1年生相当の女の子と保護者の方への大切なお知らせ(詳細版) (PDFファイル: 4.0MB)
子宮頸がんワクチンを受けた方へ (PDFファイル: 1.3MB)
ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~(厚生労働省のサイト)
更新日:2024年09月05日