○丹波市建設工事元請下請関係適正化指導要綱

平成20年5月9日

告示第350号

(趣旨)

第1条 この要綱は、市が発注する建設工事に携わる元請負人と下請負人との間における対等の協力者としての適正な契約の締結及び施工体制の確立並びに建設工事に従事する労働者の雇用条件の改善等を図るため、建設業法(昭和24年法律第100号。以下「法」という。)その他関係法令の規定に基づき、建設工事に係る下請契約について、元請負人及び下請負人が遵守すべき事項を明らかにするとともに、契約担当者が行う指導の基準として必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この要綱において「建設工事」とは、法第2条第1項に規定する建設工事であって、市が発注するものをいう。

2 この要綱において「元請負人」とは、建設工事に係る請負契約を市と締結した建設業者(以下「受注元請負人」という。)及び当該建設工事が数次の下請契約により行われる場合における当該下請契約の注文者をいう。

3 この要綱において「下請負人」とは、建設工事に係る下請契約(当該建設工事が数次の下請契約により行われる場合は、そのすべての下請契約を含む。)における請負人をいう。

(一括下請負の禁止)

第3条 受注元請負人は、その請け負った建設工事を、いかなる方法をもってするを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。重層的な数次の下請負についても、また、同様とする。

(下請負人の選定)

第4条 元請負人は、下請負人の選定に当たっては、その建設工事の施工に関し、法に基づく許可を受けていない者又は営業を禁止され、若しくは停止されている者を除き、並びに施工能力、経営管理能力、雇用管理、労働安全衛生管理の状況、労働福祉の状況及び下請負人との取引状況等を総合的に勘案し、優良な者を選定するよう努めるものとする。

(適正な下請契約の締結等)

第5条 元請負人及び下請負人は、工事の開始に先立ち、あらかじめ建設工事標準下請契約約款又は同契約約款に準拠した内容により、適正な工期及び工程並びに請負価格での下請契約を締結するものとする。

2 元請負人は、下請契約を締結するまでに、あらかじめ、当該下請契約に関する事項についてできる限り具体的な内容を提示し、かつ、下請負人が当該建設工事の見積をするために必要な一定の期間を設けなければならない。

3 元請負人は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために、通常必要と認められる原価(消費税相当分を含む。)に満たない金額を請負代金の額とする下請契約を締結してはならない。

4 元請負人は、下請契約の締結後、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事に使用する資材若しくは機械器具又はこれらの購入先を指定し、これらを下請負人に購入させてその利益を害してはならない。

5 元請負人は、その請け負った建設工事を施工するために必要な工程の細目、作業方法その他元請において定めるべき事項を定めようとするときは、あらかじめ下請負人の意見を聴かなければならない。

6 元請負人は、施工方法及び工期について安全かつ衛生的な作業の遂行を損なうおそれのある条件を付けることがないよう配慮しなければならない。

7 元請負人は、下請負人からその請け負った工事が完成した旨の通知を受けたときは、当該通知を受けた日から20日以内で、かつ、できる限り短い期間内に、その完成を確認するための検査を完了しなければならない。

8 元請負人は、前項の検査によって建設工事の完成を確認した後、下請負人が引渡しを申し出たときは、直ちに、当該工事目的物の引渡しを受けるものとする。ただし、あらかじめ下請契約において定められた工事完成の日から20日を経過した日以前の一定の日に引渡しを受ける旨の特約がなされている場合には、この限りでない。

(下請代金の支払の適正化等)

第6条 元請負人は、法に規定する下請契約に関する事項のほか、次に掲げる事項を遵守するものとする。

(1) 前払金の支払を受けたときは、下請負人に対して、資材の購入、労働者の募集その他下請工事の着手に必要な費用を速やかに前払金として現金で支払うよう十分配慮すること。

(2) 請負代金の部分払又は工事完了後における支払を受けたときは、当該支払の対象となった建設工事を施工した下請負人に対して、支払を受けた金額の出来形に対する割合及び下請負人が施工した出来形部分に相応する下請代金を、当該支払を受けた日から1月以内で、かつ、できる限り短い期間内に代金を支払うこと。

(3) 下請契約の締結後、正当な理由がないのに下請代金の額を減じないこと。

(4) 下請工事に必要な資材を元請負人から購入させる場合は、正当な理由なくその工事の下請代金の支払期日前に、当該建設工事に使用する資材の代金を支払わせないこと。

(5) 下請代金の支払は、できる限り現金払とし、現金払と手形払を併用する場合であっても、支払代金に占める現金の比率を高めるとともに、労務費相当分については、必ず現金払とすること。

(6) 手形の期間は、120日以内で、かつ、できる限り短い期間となるよう努めること。

(7) 一般の金融機関(預金又は貯金の受入れ及び資金の融通を業とする者をいう。)による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付しないこと。

(8) 元請負人の都合により現金払の約定を手形払に改める場合又は手形期間を延長する場合は、下請負人がその割引に要する費用又は増加費用については、元請負人が負担すること。

(9) 法による特定建設業の許可を受けた建設業者(以下「特定建設業者」という。)が注文者となった下請契約(下請負人が特定建設業者又は資本金が4,000万円以上の法人である者を除く。)における下請代金の支払期日は、引渡しの申出の日(引渡しの日について前条第8項ただし書の特約がなされている場合は、その日。次号において同じ。)から起算して50日以内で、かつ、できる限り短い期間内において定めること。

(10) 前号に規定する支払期日を定めなかった場合又は51日以降の日を支払期日と定められた場合においても、支払期日は50日を経過する日に定められたものとみなす。

(11) 前2号の支払期日までに当該下請代金の支払をしなかったときは、下請負人に対し、前条第8項本文の申出の日から起算して50日を経過した日から下請代金の支払をする日までの期間について、その日数に応じ当該未払金額に国土交通省令で定める率を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならない。

2 元請負人は、資材業者、建設機械又は仮設機材の賃貸業者、警備業者、運送事業者等に対しても前項各号の規定に準じた配慮をするものとする。

(下請負人における建設労働者の雇用条件等の改善)

第7条 下請負人は、下請契約により定められた事項を適正に履行するとともに、次に掲げる事項について措置するものとする。

(1) 雇用及び労働条件の改善に関する事項

 建設労働者の雇入れに当たっては、適正な労働条件を設定するとともに、労働条件を明示し、雇用に関する文書の交付を行うこと。

 適正な就業規則の作成に努めること。この場合において、一の事業場に常時10人以上の建設労働者を使用する者にあっては、必ず就業規則を作成の上、労働基準監督署に届け出ること。

 賃金は、毎月1回以上一定日に通貨で、その金額を直接、建設労働者に支払うこと。

 建設労働者名簿及び賃金台帳を適正に調製すること。

 労働時間管理を適正に行うこと。この場合において、労働時間の短縮や休日の確保に十分配慮すること。

(2) 安全衛生の確保に関する事項

 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)を遵守し、工事を安全に施工すること。この場合において特に、新たに雇用した建設労働者、作業内容を変更した建設労働者、危険又は有害な作業を行う建設労働者、新たに職長等建設労働者を直接指揮監督する職務についた者等に対する安全衛生教育を実施すること。

 災害が発生した場合には、当該下請契約における元請負人及び受注元請負人に速やかに報告すること。

(3) 福祉の充実に関する事項

 雇用保険、健康保険及び厚生年金保険に加入し、保険料を適正に納付すること。この場合において、健康保険又は厚生年金保険の適用を受けない建設労働者に対しても、国民健康保険又は国民年金に加入するよう指導に努めること。

 任意の労働者災害補償制度に加入する等労働者災害補償に遺漏のないよう努めること。

 建設業退職金共済組合に加入する等退職金制度を確立するとともに、厚生年金基金の加入にも努めること。この場合において、厚生年金基金の加入対象とならない建設労働者に対しても、国民年金基金に加入するよう指導に努めること。

 自らが使用するすべての建設労働者に対し、健康診断を行うよう努めるものとし、特に常時使用する建設労働者に対しては、雇入れ時及び定期に健康診断を行うこと。

(4) 福利厚生施設の整備に関する事項

 建設労働者のための寄宿舎を整備するに当たっては、その良好な居住環境の確保に努めること。この場合において、労働基準法(昭和22年法律第49号)に定める寄宿舎等に関する規定を遵守すること。

 建設現場における快適な労働環境の実現を図るため、現場福利施設(食堂、休憩室、更衣室、洗面所、浴室、シャワー室等)の整備に努めること。

(5) 建設労働者の能力の開発及び向上に関し、技術及び技能の研修及び教育訓練に努めること。

(6) 適正な雇用管理に関する事項

 雇用管理責任者を任命し、その者の雇用管理に関する知識の習得及び向上を図るよう努めること。

 建設労働者の募集は、適正に行うこと。

 出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)に違反して不法に外国人を就労させないこと。

(7) 前各号に定める事項のほか、建設業関係法令を遵守すること。

(元請負人の下請負人に対する指導等)

第8条 受注元請負人は、建設労働者の雇用の改善に関する法律(昭和51年法律第33号)及び労働安全衛生法の遵守、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)に係る保険料の適正な納付並びに適正な工程管理の実施等の措置を講ずるとともに、当該工事に係るすべての下請負人が、前条各号に定める事項について措置するよう、指導、助言その他の援助を行うものとする。

2 受注元請負人以外の元請負人は、受注元請負人が行う下請負人に対する指導、助言その他の援助が的確に行われるよう協力するものとする。

(受注元請負人の他の元請に対する指導)

第9条 受注元請負人は、当該建設工事に係るすべての元請負人に対し、第3条から第6条までに定める事項を遵守するよう指導に努めるものとする。

(受注元請負人の遵守事項)

第10条 受注元請負人は、前2条に定める指導等を行うため、次に掲げる事項を遵守するものとする。

(1) 事業場ごとに、他のすべての元請負人及び下請負人に対して、総括的に指導等を行う責任者(以下「下請指導責任者」という。)を置くこと。この場合において、下請指導責任者は、現場代理人を兼ねることができる。

(2) 下請指導責任者は、この要綱の趣旨と内容を十分認識し、元請下請関係の実態を常に把握し、1次以降の下請負人に対して、元請と下請の関係の適正化に関する指導及び助言を行うとともに、万一紛争等が生じた場合は、積極的にその解決に努めること。

(3) 受注元請負人は、請負契約を締結した日から14日以内に下請通知書を契約担当者に提出すること。

(4) 受注元請負人は、法の規定に従い施工体制台帳を作成して工事現場に備え置くとともに、施工体系図を工事現場内の工事関係者及び公衆が見やすい場所に掲示すること。

(5) 工事現場における労働災害を防止し、安全かつ衛生的な下請作業が行えるよう責任者を定め、協議組織を設置する等必要な措置を講ずること。

(6) 工事現場に、次に定める基準により現場代理人及び主任技術者又は監理技術者を置き、工事現場における施工の技術上の総括管理を行うこと。

 現場代理人は工事現場に常駐すること。ただし、あらかじめ市長の承諾を得たときは、この限りでない。

 下請契約金額が5,000万円(建築一式工事にあっては8,000万円)以上になる場合は、監理技術者を置き、それ以外の場合は、主任技術者を置くこと。この場合において、主任技術者又は監理技術者は、現場代理人を兼ねることができる。

 元請負人及び下請負人においては、請負金額が4,500万円(建築一式工事にあっては9,000万円)以上の建設工事の主任技術者又は監理技術者は、工事現場に専任であること。

 監理技術者は、監理技術者資格者証の交付を受けた者であること。

(指導、助言等)

第11条 契約担当者は、この要綱の適正な実施を確保し、その趣旨の徹底を図るため、次に掲げる措置をとるものとする。

(1) この要綱の実施に関し、受注元請負人に対する必要な指導又は助言

(2) 前号に掲げる事項のほか、この要綱に定める事項に違反し、建設工事の適正な施工の確保が困難となるおそれが生じた場合における受注元請負人に対する調査及び是正その他の必要な措置を講ずるべき旨の指示

(3) 元請負人又は下請負人が前号の指示に従わない場合又は指示した事項に関する措置の結果が適切でない場合においては、丹波市指名停止基準(平成18年丹波市告示第778号)に基づく適切な措置

(適正化指導員による調査、指導等)

第12条 市長は、前条の目的を達成するため、適正化指導員を置き、建設工事担当課長及び入札検査部入札検査室長をもって充てる。

2 適正化指導員は、随時この要綱の実施状況を調査し、前条第1号及び第2号に定める指導、助言その他必要な措置を講ずるものとする。

この要綱は、公布の日から施行する。

(平成22年7月1日告示第544号)

この要綱は、公布の日から施行する。

(平成26年3月31日告示第231号)

この要綱は、平成26年4月1日から施行する。

(平成27年8月11日告示第625号)

この要綱は、公布の日から施行する。

(平成28年6月15日告示第613号)

この要綱は、公布の日から施行する。

(令和2年1月23日告示第31号)

この要綱は、令和2年4月1日から施行する。

(令和2年2月17日告示第115号)

この要綱は、公布の日から施行する。

(令和3年6月1日告示第408号)

この要綱は、公布の日から施行し、改正後の丹波市建設工事元請下請関係適正化指導要綱の規定は、令和3年7月1日以降に入札公告又は入札通知若しくは見積り通知を行う建設工事から適用する。

(令和5年1月23日告示第26号)

この要綱は、公布の日から施行する。

(令和7年2月18日告示第40号)

この要綱は、公布の日から施行する。

丹波市建設工事元請下請関係適正化指導要綱

平成20年5月9日 告示第350号

(令和7年2月18日施行)

体系情報
第6編 務/第2章 契約・財産
沿革情報
平成20年5月9日 告示第350号
平成22年7月1日 告示第544号
平成26年3月31日 告示第231号
平成27年8月11日 告示第625号
平成28年6月15日 告示第613号
令和2年1月23日 告示第31号
令和2年2月17日 告示第115号
令和3年6月1日 告示第408号
令和5年1月23日 告示第26号
令和7年2月18日 告示第40号