○丹波市法令遵守の推進等に関する条例

平成29年3月13日

条例第5号

(目的)

第1条 この条例は、職員の職務に係る法令遵守の推進及び倫理の保持のための体制を整備し、公正な職務の遂行を確保することにより、市民に信頼される市政を確立することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 職員 本市に勤務する地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職に属する職員及び同条第3項に規定する特別職に属する職員(議会の議員を除く。)をいう。

(2) 職員等 次に掲げる者をいう。

 職員

 市から事務又は事業を受託した者(以下「受託者」という。)が行う当該事務又は事業に従事している者

 指定管理者(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者をいう。以下同じ。)が行う市の公の施設の管理の業務に従事している者

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)に基づき市の業務に従事している者

 公益通報の日前1年以内にからまでのいずれかの者であった者

 受託者の役員及び指定管理者の役員

(3) 法令 法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例、規則(規程を含む。)及び訓令をいう。

(4) 任命権者 地方公務員法第6条第1項に規定する任命権者をいう。

(5) 受託者等 受託者及びその役員並びに指定管理者及びその役員をいう。

(6) 通報者 内部公益通報をした職員等若しくは市民又は外部公益通報をした労働者(労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する労働者をいい、公益通報の日前1年以内に労働者であった者を含む。以下同じ。)若しくは役員をいう。

(7) 通報対象事実 公益通報者保護法(平成16年法律第122号)第2条第3項に規定する通報対象事実をいう。

(8) 内部公益通報 職員等又は市民が市政運営上において、通報対象事実又は法令違反が生じ、又は生じようとしている場合について通報することをいう。

(9) 外部公益通報 労働者又は役員がその労務先において、通報対象事実又は法令違反が生じ、又は生じようとしている場合について通報することをいう。

(10) 公益通報 内部公益通報及び外部公益通報をいう。ただし、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正な目的で行うものを除く。

(11) 不当要求行為等 次に掲げる行為をいう。

 暴力行為、恐喝行為その他社会常識を逸脱した手段により要求の実現を図る等の不当な要求をする行為

 威圧的又は乱暴な言動により他人に嫌悪の情を抱かせる行為

 正当な理由もなく面会を強要する行為

 正当な理由又は手段によらずに寄附金、賛助金等の寄附、機関紙等の書籍若しくは物品の購入又は工事の計画変更、工事の中止、下請の参入若しくは物件等の補償その他の金銭若しくは権利を強要する行為

 正当な手続によることなく、作為又は不作為を求める行為

 職員以外の者が職員に対し、その職務に関し、特定の団体又は個人を他の者と比べて有利に取り扱う等特別な取扱いをすること(不作為行為を含む。)を求める働きかけをする行為

 職員への嫌がらせの電話、誹謗中傷するビラ等の配布、自宅周辺での迷惑行為その他プライバシーを侵害し、又は不当な圧力を与える行為

 前各号に掲げるもののほか、庁舎等の公共施設の保全及び秩序の維持並びに職員の事務又は事業の執行に支障を生じさせる行為

(倫理原則等)

第3条 職員は、市民全体の奉仕者であり、市民の一部に対してのみの奉仕者ではないことを自覚し、職務上知り得た情報について市民の一部に対してのみ有利な取扱いをする等市民に対し不当な差別的取扱いをしてはならず、常に公正な職務の執行に当たらなければならない。

2 職員は、常に公私の別を明らかにし、いやしくもその職務や地位を自らや自らの属する組織のための私的利益のために用いてはならない。

3 職員は、法令により与えられた権限の行使に当たっては、当該権限の行使の対象となる者からの贈与等を受けること等の市民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならない。

4 職員は、職務の遂行に当たっては、公共の利益の増進を目指し、全力を挙げてこれに取り組まなければならない。

5 職員は、勤務時間外においても、自らの行動が公務の信用に影響を与えることを常に認識して行動しなければならない。

(市長等の責務)

第4条 市長及び他の任命権者(以下「市長等」という。)は、市民の信託に応え、法令遵守の推進及び倫理の保持を図るため、職員に対する研修を実施するとともに、適切な対応ができる組織体制の整備、公益通報をした者の保護その他必要な措置を講じなければならない。

2 市長等は、不当要求行為等及び適正な市政運営を妨げる行為に対しては組織的に対応しなければならない。

3 何人も、職員に対して公平かつ公正な職務の遂行を妨げるおそれのある行為を要求してはならない。

(法令遵守審査会の設置)

第5条 地方自治法第138条の4第3項の規定に基づき、丹波市法令遵守審査会(以下「審査会」という。)を設置する。

2 審査会は、委員3人で組織する。

3 委員は、法令に関し専門的知識を有する者の中から市長が委嘱する。

4 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また同様とする。

6 市長は、委員に職務上の義務違反その他委員としてふさわしくない行為があると認めるときは、解嘱することができる。

7 委員は、自己若しくは2親等以内の親族(以下「自己等」という。)の一身上に関する事件又は自己等の従事する業務に直接利害がある事件については、次条第1項の調査及び審査(以下「調査等」という。)をすることができない。

(審査会の所掌事務)

第6条 審査会は、次の職務を所掌する。

(1) 公益通報の受付、調査等に関すること。

(2) 不当要求行為等の調査等に関すること。

(3) 前2号に掲げるもののほか法令遵守の推進及び倫理の保持に関すること。

2 審査会の会議は、非公開とする。ただし、審査会が必要と認める場合には、公開することができる。

(公益通報の受付等)

第7条 公益通報の相談及び受付窓口は、市長が規則で定める者とする。

2 公益通報は、前項で定める者のほか審査会の委員に相談及び受付を行わせることができる。

3 市長が規則で定める者及び審査会の委員(以下「公益通報受付者」という。)は、公益通報を受けたときは、速やかに審査会に通知するものとする。

4 通報者は、公益通報をする場合は、原則として実名により誠実に行うものとし、この制度を濫用してはならない。

(公益通報の受理等)

第8条 審査会は、前条の公益通報を受理すると決定したときは受理した旨を、不受理と決定したときは不受理とした旨及びその理由を遅延なく市長及び通報者に通知しなければならない。

2 公益通報受付者は、公益通報の内容が本市の機関の処分、勧告等を行う権限に属さないものであると認めるときは、当該外部公益通報に係る処分、勧告等を行う権限を有する行政機関を通報者に教示しなければならない。

(公益通報の調査等)

第9条 審査会は、公益通報を受理したときは、通報された内容について速やかに調査等を行うものとする。

2 審査会は、調査等の結果、当該通報された内容が事実であると認めるときは、是正措置等についての意見を付して、事実でないと認めるとき又は当該事実の存否が明らかにならないときはその旨を、市長等に通知するものとする。

3 審査会は、調査等の結果を通報者に通知しなければならない。ただし、匿名の通報者又は通知を希望しない通報者に対しては、この限りでない。

4 審査会は、市長等が正当な理由なく次条第1項の措置を講じなかった場合は、勧告等必要な措置を講じ、これを公表することができる。

5 第11条第2項の是正の申立ての調査等については、第1項から前項までの規定を準用する。

(公益通報に係る措置等)

第10条 市長等は、審査会から前条第2項の規定による内部公益通報の内容が事実であるとの通知(同条第5項で準用する場合を含む。)を受けたときは、当該内部公益通報に係る行為を是正するとともに、再発を防止するために必要な措置を講じなければならない。この場合において、市長は、その概要を公表するものとする。

2 市長等は、審査会から前条第2項の規定による外部公益通報の内容が事実であるとの通知を受けたときは、関係法令に基づく処分その他必要な措置を講じなければならない。

3 市長等は、公益通報の内容が事実でないことが判明した場合において、当該公益通報に係る関係者の名誉が毀損されたと認めるときは、事実関係の公表その他名誉を回復するための適切な措置を講じなければならない。

4 市長等又は受託者等は、通報者が公益通報を行ったことにより不利益な取扱いを受け、又は受けるおそれがあると認めるときは、遅滞なく改善又は防止のための措置を講じなければならない。

(通報者の保護)

第11条 市長等又は受託者等は、通報者に対して、公益通報をしたことを理由としていかなる不利益な取扱いもしてはならない。

2 通報者は、正当な公益通報をしたことによって不利益な取扱いを受けたと認められるときには、審査会にその是正の申立てをすることができる。この場合において、通報者がそれ以後に受けた不利益な取扱いは、特段の理由がない限り、当該公益通報をしたことを理由としてなされたものと推定する。

3 市長等又は受託者等は、通報者を保護するため、通報者が特定されるおそれがある情報は公開してはならない。

4 市長は、通報者が公益通報をしたことを理由として、その労務提供先の事業者から懲戒処分その他の不利益な取扱いを受けたと認められるときは、当該不利益な取扱いについて是正を求めなければならない。

(不当要求行為等への対応)

第12条 職員(地方公務員法第3条第2項に規定する一般職に属する職員に限る。)は、不当要求行為等があったときは、これを拒否するとともに、その内容を記録し、直属の上司に報告しなければならない。

2 前項の報告を受けた上司は、当該記録を審査会に提出しなければならない。

3 職員(地方公務員法第3条第3項に規定する特別職に属する職員(議会の議員を除く。)に限る。)は、不当要求行為等があったときは、これを拒否するとともに、その内容を記録し、当該記録を審査会に提出しなければならない。

(不当要求行為等の調査等)

第13条 審査会は、前条第2項に規定する記録の提出があったときは、当該記録の内容について調査等を行うものとする。

2 審査会は、調査等の結果、不当要求行為等に該当すると認めるときは意見を付して、該当しないと認めるときはその旨を、市長等に通知するものとする。

(不当要求行為等に係る措置等)

第14条 市長等は、審査会から前条第2項の規定による不当要求行為等に該当するとの通知を受けたときは、事実の確認を行い、当該不当要求行為等を行った者に対し警告する等必要な措置を講ずるものとする。この場合において、市長は、必要があると認めるときは、当該不当要求行為等を行った者の氏名、警告の内容その他の事項について公表することができる。

(職員への配慮)

第15条 市長等は、職員が不当要求行為等に対する措置を行ったことにより、正当な理由なく不利益な取扱い又は不当な権利侵害を受けることのないよう必要な配慮又は援助を行わなければならない。

(調査等への協力)

第16条 職員等及び市民は、審査会から公益通報及び不当要求行為等の調査等のため協力を求められたときは、これに応じなければならない。

2 市長は、外部公益通報の処理に係る記録及び関係資料について、他の行政機関から調査の協力を求められたときは、正当な理由がある場合を除き、必要な協力をしなければならない。

(運用状況の公表)

第17条 市長は、毎年1回、公益通報及び不当要求行為等の件数並びにこれらの概要について公表するものとする。

(その他)

第18条 この条例に定めるもののほかこの条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成29年5月1日から施行する。ただし、次項の規定は、公布の日から施行する。

(準備行為)

2 職員の法令遵守の推進及び倫理の保持の体制の整備を図るために必要な準備行為は、この条例の施行日前においても行うことができる。

(丹波市特別職に属する非常勤の職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

3 丹波市特別職に属する非常勤の職員の報酬及び費用弁償に関する条例(平成16年丹波市条例第41号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(令和4年12月26日条例第32号)

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(経過措置)

2 改正後の丹波市法令遵守の推進等に関する条例の規定は、この条例の施行の日以後にされた公益通報及び不当要求行為等について適用し、この条例の施行の日前にされた公益通報及び不当要求行為等については、なお従前の例による。

丹波市法令遵守の推進等に関する条例

平成29年3月13日 条例第5号

(令和4年12月26日施行)