成松の造り物行事
市指定文化財 (無形民俗文化財) 平成12年9月19日指定
- 名称 成松の造り物行事(なりまつのつくりものぎょうじ)
- 保持団体 成松の造り物保存会
- 奉納場所 丹波市氷上町成松町内各所


成松造り物行事は、成松愛宕神社大祭の奉納行事である。
現在、成松区及び常楽区の一部で構成される保存会が結成され、計11組に分かれて制作、競演されている。制作はお盆過ぎからはじまり、題材・材料とも各組秘密裡に進め23日早朝までに仕上げる。
作風の特徴は、制作材料を祝儀物・金物・陶器など日用品に求め、その内一種類一式を用いることで、材質の持つ色、つや、形等の持ち味を生かしている。また、その題材をその時々の時代・世相に求め、時代性及び風刺に富んだものとなっている。
歴史的には、元禄の頃、成松周辺で続いた飢饉や大火を憂えた有志が火難除けの神であるところの京都愛宕神社へ詣で、鎮火と五穀豊穣を祈願し、成松に分社を設けた。これを契機として、愛宕信仰が広まり、毎年の大祭の御供えとして奉納したものが造り物の形態に発展したものとされ、約200年前に始まったと伝えられるが、定かではない。
現在知られる最も古い記録として、上町橘組による明治35年7月調べの、「明治24年(1891年)以降35年に至る愛宕例祭に付記録」が残されており、造り物奉納の記録があるが、その行事内容の詳細は不明である。
周辺では町内石生地区や青垣町佐治、篠山市古市などに同様の行事が知られるが、いずれも廃絶かそれに近い状態である。この意味においても成松造り物行事は貴重な文化遺産である。
更新日:2024年03月19日