高座神社本殿 (附 棟札8枚)

更新日:2024年03月19日

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国指定文化財 (建造物) 平成30年8月17日指定

  • 所在地 山南町谷川3558
  • 所有者 高座神社
  • 管理者 高座神社
手前に灯篭と水路と橋があり神社とその奥に森が広がっている写真

 高座神社は、丹波市山南町の山間を西流する篠山川の左岸に開けた谷川の地に所存する。創建については詳らかでないが、元慶3年(879)に谷川の対岸になる金屋に創始したと伝わる。主神は高倉下命で、天火明命など四柱を配祀する。中世に地頭久下氏の祈願所となり、弘治3年(1557)に現在地へ社地を遷したとされる。近世には「高座大明神」として柏原織田家の庇護を受け、篠山川流域に広がる久下谷の鎮守守として崇敬された。
 境内は山裾に広がる平坦地で、奥寄りに本殿が南面して建ち、東側に二宮神社と皇大神社、西側に五大神社が並ぶ。本殿正面に拝殿と石鳥居が建ち、南西に延びる参道を経て、境内南端に大鳥居と随身門を構える。参道の東側には社務所と神輿庫が建つ。
 本殿は棟札などより、久下谷の氏子13ヶ村が施主となり、宝永2年(1705)に上棟、翌3年に遷宮が行われたことがわかる。以降、定期的に屋根葺替や修理を重ね、現在に至っている。
 本殿は五間社流造、檜皮葺で、正面中央に入母屋造、軒唐破風付の向拝を付し、大屋根に左右二箇所の千鳥破風を飾る。身舎は桁行正面五間、背面六間、梁間二間で、正面側に擬宝珠高欄付の縁を廻らせ、縁の後端に脇障子をたてる。
 内部は棟通りの柱筋で内外陣に分け、外陣正面は格子引違とし、内外陣境は板唐戸を開く。内陣は、奥寄りに桁行全長の棚を造り、五区画の神棚を設ける。
 彫刻は、向拝、庇廻り及び妻飾など見え掛かりとなる正側面に多用される。向拝正面は、中備に「高砂」を配し、妻虹梁上の「力士」に雲形彫刻を飾る。庇と身舎は、蟇股のモチーフに種々の鳥、実の生る植物などをあしらい、板支輪には「天人」「雲」など、正側面組物の木鼻、尾垂木、持送などには「龍」などの霊獣、手挟には「迦陵頻伽」「牡丹」などを飾る。建物全体は素木であるが、鬼板や懸魚などを含め彫刻部分には彩色が施され、当地の地域的な特徴を示す。
 高座神社本殿は丹波地方で最大級の規模を有する近世神社本殿で、独自の平面や複雑かつ巧緻な組物、華やかな屋根形式などに豊かな創意と高い技量が看取さられるとともに、向拝形式や細部装飾の各所に当地方の社寺建築の特徴が認められる。造営背景が明らかで江戸中期の丹波地方における神社本殿の指標となる点でも重要であり、顕著な地方的特色と意匠的独創性を備える神社本殿として高い価値を有している。

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