石造宝筺印塔 (大野区)
県指定文化財 (建造物) 昭和49年3月22日指定
- 所在地 春日町大野
- 所有者 大野区
- 管理者 大野区

「赤井家家譜」によれば、初代為家ほか家職、忠家ら5人は黒井興禅寺に葬るとある。しかし、いろいろな傍証によって黒井城主であった赤井氏の菩提寺は、もとは大野区千丈寺だったことは間違いなく、この塔は千丈寺の代々住職墓地の上座に3基の塔や五輪塔とともにある。
それらの中で、石造物としてもっとも傑出し、しかも全体の姿態をよく残しているのが県指定の宝篋印塔である。
石英粗面岩製で、高さ124センチメートル。台石はやや低く、上に、復弁の反花座をつけ4面に輪郭をとり格狭間を入れている。軸石には4面ともには蓮華座つきの大きな月輪の中に胎蔵界四仏の種子を刻む。笠石の上は普通の段形だが軒下を、台石の反花と対応させて復弁の請花にしているのは珍しく、市島町白毫寺の県指定文化財宝篋印塔と相通じるものがある。
相輪部が中央部で折れているのは惜まれるがそれ以外は保存もよく、細部の手法からみて室町時代初期を下らないころの造立と思われる。
更新日:2024年03月19日