○丹波市議会基本条例
平成23年9月29日
条例第47号
地方議会は、二元代表制の一翼を担う重大な責務のもと、地方公共団体の事務執行の監視機能及び政策立案機能を十分発揮しながら、日本国憲法に定める地方自治の本旨の実現を目指すものである。
今日、地方分権の流れのなかで、議会及び議員は市民への積極的な情報公開を通じ、情報の提供及び情報の共有化を図ることにより、公正性と透明性の確保に努め、市民の市政への参加を求めるなど、“開かれた議会”を推進する。
また、議員間の活発な討議と併せ自己研鑽及び資質の向上を図り行政との持続的緊張関係の保持に努めなければならない。
丹波市議会は、この使命を実現するため、議会及び議員活動の活性化を図り、丹波市民の負託に応えることを決意し、議会運営の最高規範としてこの条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、議会及び議員活動の活性化と充実のため、必要な議会運営の基本事項を定めることによって、情報公開と市民参加を基本とし、親しまれる開かれた議会を目指すとともに豊かなまちづくりの実現に寄与することを目的とする。
(議会の責務)
第2条 議会は、市の政策に対する意思決定を行う議決機関として、適切な判断と責任ある活動を行わなければならない。
(議長の責務)
第3条 議長は、議会を代表して中立公正な職務遂行に努めるとともに、民主的かつ効率的な議会運営を行わなければならない。
(議員の責務)
第4条 議員は、市民の負託を受けて議員に選出されたことを自覚し、議員として必要な資質の向上に努めるとともに、高い政治倫理のもとで、誠実かつ公正な職務の遂行に努めなければならない。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第5条 議会は、市民の代表機関であることを常に自覚し、公正性、透明性及び信頼性を重んじ、市民の参加を積極的に推進する等、開かれた議会を目指して活動する。
2 議会は、市長、その他執行機関、市民等との情報交換と自由な討論の場であり、この条例に規定するもののほか、丹波市議会会議規則(平成16年丹波市議会規則第3号。以下「会議規則」という。)、丹波市議会委員会条例(平成16年丹波市条例第242号)等を遵守するものとする。
3 議会は、議会の活動に関する情報公開を積極的に行うとともに、市民に対する説明責任を果たさなければならない。
4 議会は、市民の多様な意見を的確に把握し、これを市政に反映させるために必要な政策提言、政策立案等を行うものとする。
5 議会は、災害時においても、議会機能を的確に維持しなければならない。
6 災害時の対応について必要な事項は、議長が別に定める。
(議員の活動原則)
第6条 議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを認識し、議員相互間の自由な討議の推進に努めなければならない。
2 議員は、市政の課題全般について、市民の意見を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研鑽によって、市民の選良にふさわしい活動をするものとする。
3 議員は、一部の地域、団体及び個人にとらわれず、市民全体の奉仕者としての自覚を持ち、福祉の向上のために活動しなければならない。
(会派)
第7条 議員は、議会活動を行うため会派を結成することができる。
2 会派は、同一の理念を共有する議員で構成し、活動するものとする。
3 会派に関することは、丹波市議会会派規程(平成28年丹波市議会訓令第1号)に定める。
第3章 市民と議会の関係
(市民との連携)
第8条 議会は、本会議のほか、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)並びに会議規則で規定する協議の場を原則公開するものとする。
2 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第100条の2の規定による専門的知見の活用並びに法第115条の2(第109条第5項において準用する場合を含む。)の規定による参考人制度及び公聴会制度を十分に活用して、市民の専門性や政策的識見等を議会の審議に反映させるよう努めるものとする。
3 議会は、市政全般にわたって、各種団体、学生等との懇談の場を設け、議会運営の改善、政策提言等に反映させるよう努めなければならない。
(市民への説明責任)
第9条 議会は、議決責任を深く認識するとともに、議案等を議決し、自治体としての意思決定又は政策決定をしたときは、市民に対して説明する責務を有する。
2 議会は、議会運営に関し、市民に対して説明する責務を有する。
(市民との意見交換会)
第10条 議会は、市政の諸課題に柔軟に対応するため、市政全般にわたって、議員及び市民が自由に情報及び意見を交換する市民との意見交換会を行うものとする。
2 市民との意見交換会に関することは、議長が別に定める。
第4章 議会と行政の関係
(議員と市長、その他執行機関の関係)
第11条 議員と市長、その他執行機関及びその職員(以下「市長等」という。)との関係は、緊張関係の保持に努めなければならない。
(1) 本会議における市長等に対する質疑及び質問は、論点及び争点を明らかにするため、一問一答方式で行うことができる。
(2) 議長から本会議及び委員会への出席を要請された市長等は、議長又は委員長の許可を得て、議員の質問に対して反問することができる。
(3) 議員は、会期中又は閉会中にかかわらず、議長を経由して市長等に対し文書質問を行うことができる。この場合において、市長等に文書により回答を求めるものとする。
(政策の形成過程の説明)
第12条 議会は、重要な政策について、論点を明確にし、政策水準の向上と市民への公開のため、市長に対し、次に掲げる事項の説明を求めるものとする。
(1) 政策の発生源
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討
(4) 市民参加の実施の有無とその内容
(5) 総合計画との整合性
(6) 関係ある法令及び条例等
(7) 財源措置
(8) 将来にわたるコスト計算
2 議会は、前項の政策を審議するに当たっては、それらの政策の水準を高めるために、立案、執行における論点、争点を明らかにするとともに、執行後における市の施策評価に役立つような審議に努めるものとする。この場合において、議会は市長に対し、必要な資料の提出を求めることができる。
(予算及び決算における政策説明)
第13条 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、前条の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の説明を市長に求めるものとする。
(法第96条第2項の議決事項)
第14条 法第96条第2項の議会の議決事項については、代表機関である議会が市政における重要な計画等の決定に参画する観点及び同じく代表機関である市長の政策執行上の必要性を比較衡量の上、別に条例で定める。
第5章 議員間の自由討議
(議会の合意形成)
第15条 議会は、議員による討論の場であることを十分に認識し、議員相互間の自由討議に努め議論を尽くさなければならない。
2 議会は、本会議及び委員会において、議員、委員会及び市長が提出した議案又は請願若しくは陳情に関して審議し結論を出す場合、議員相互間の議論を尽くして合意形成に努めるものとする。
(政策討論会)
第16条 市政に関する重要な政策及び課題に対して、議会としての共通認識の醸成を図り、合意形成を得るため、政策討論会を開催する。
2 政策討論会に関することは、議長が別に定める。
第6章 委員会等の活動
(委員会の活動)
第17条 委員会審査に当たっては、資料等を積極的に公開しながら市民に対し、分かりやすい議論を行うよう努めなければならない。
2 委員会は、多様な行政課題に適切かつ迅速に対応するため、積極的な運営により機動性を高めなければならない。
3 常任委員会の委員長は、任期中の課題及び検討事項について、後任者へ文書により引き継ぐものとする。
(協議の場の活動)
第18条 会議規則に規定する協議の場においては、資料等を積極的に公開しながら市民に対し、分かりやすい議論を行うよう努めなければならない。
(行政視察)
第19条 委員会は、行政の基本的施策等について提言し、市民の利益の実現を図っていくために、他自治体の先進事例を研修することにより市政に反映するものとする。
2 行政視察終了後速やかに報告書を作成し、議長に提出するとともに本会議で報告し、議会広報等により市民に情報の公開をするものとする。
第7章 政務活動費
(政務活動費の執行及び公開)
第20条 会派及び会派に所属しない議員(以下「会派等」という。)は、政策立案等を行うための調査研究その他の活動に資するために交付される政務活動費の執行に当たっては、丹波市議会政務活動費の交付に関する条例(平成17年丹波市条例第12号)を遵守しなければならない。
2 会派等は、政務活動費の支出について会計帳簿を調製し、使途を明確にするとともに、領収書、活動内容その他の証拠書類を整理保管し、これらの書類を政務活動費の提出期間の末日の翌日から起算して5年を経過する日まで、いつでも市民に閲覧可能な状態で保管しなければならない。
3 市民から、丹波市議会政務活動費の交付に関する条例第11条第2項に規定する閲覧請求があった場合は、速やかに閲覧に応ずるものとする。
4 議長は、政務活動による活動状況及び収支状況を議会広報等に掲載し公表するものとし、会派等においても、活動成果を会派が発行する広報紙等で報告するものとする。
第8章 議会改革の推進と議会機能の充実
(議会改革)
第21条 地方分権に伴い、議会が担う役割はますます重要なものとなり、議会における審議が高度化・複雑化する中で、地方議会のあり方を常に議論し、議会改革を更に推し進めるよう努めるものとする。
(議員研修の充実強化)
第22条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上等を図るため、議員研修の充実強化を図る。
2 議会は、広く各分野の専門家を招聘し、市民等との研修会を年1回以上開催するものとする。
3 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室の図書等の充実及び機能強化に努め、その有効活用を図るものとする。
(議会事務局の体制整備)
第23条 議長は、議員の政策形成及び立案能力を向上するため、議会事務局の調査・法務能力の充実強化及び組織体制の整備を図るよう努めるものとする。
2 議会事務局は、議員の議会活動に必要な情報の提供に努めるものとする。
(広報広聴の充実)
第24条 議会は、多くの市民が議会と市政に関心を持つよう広報広聴活動に努めるものとする。
2 議会は、多様な手段、機会等を活用して、情報の発信及び市民の意見の把握に努めなければならない。
3 議会は、議案に対する各議員の対応を議会広報等で公表し、情報の提供に努めるものとする。
第9章 議員の政治倫理、身分及び待遇
(議員の政治倫理)
第25条 議員は、丹波市議会議員政治倫理条例(平成18年丹波市条例第115号)を遵守し、市民の代表者としてその倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって、市民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。
(議員定数)
第26条 議員の定数は、丹波市議会議員定数条例(平成18年丹波市条例第114号)に定めるところによる。
2 議員定数の条例改正案は、法第74条第1項の規定による市民の直接請求があった場合及び市長が提出する場合を除き、委員会又は議員が改正議案を提出しようとするときは、明確な改正理由を付して提出するものとする。
3 前項の規定に基づき、委員会又は議員が改正案を提出する場合は、行財政改革の視点だけではなく、市政の現状と課題、将来の予測と展望、近隣市・類似市との比較検討等を十分に考慮するとともに、あらかじめ当該改正案を市民に公開して意見等を求めなければならない。
(議員報酬)
第27条 議員報酬は、丹波市議会議員の議員報酬、費用弁償等に関する条例(平成16年丹波市条例第40号)に定めるところによる。
2 議員報酬を定める条例の改正は、法第74条第1項の規定による市民の直接請求があった場合及び丹波市特別職報酬等審議会の答申に基づき市長が提出する場合を除き、委員会又は議員が改正議案を提出しようとするときは、明確な改正理由を付して提出するものとする。
3 前項の規定に基づき、委員会又は議員が改正案を提出する場合は、行財政改革の視点だけではなく、議員活動の評価等に関しあらかじめ当該改正案を市民に公開して意見等を求めなければならない。
第10章 最高規範性と見直し手続
2 議会及び議員は、この条例に定める理念及び原則を遵守して議会を運営し、もって市民を代表する合議制の機関として、市民に対する責任を果たさなければならない。
(見直し手続)
第29条 議会は、一般選挙を経た任期開始後、できるだけ速やかにこの条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検討するものとする。
3 議会は、この条例を改正する場合には、全議員の賛同する改正案であっても、本会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。
附則
この条例は、平成24年1月1日から施行する。
附則(平成25年2月25日条例第1号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成25年3月1日から施行する。
附則(平成30年3月26日条例第27号)
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(丹波市議会議員の議員報酬、費用弁償等に関する条例の一部改正)
2 丹波市議会議員の議員報酬、費用弁償等に関する条例(平成16年丹波市条例第40号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
附則(平成30年9月28日条例第57号)
この条例は、公布の日から施行する。